凛の背中から手を離して俯く。
「マジで…悪い」
「…別にいいっつってんだろ。で、何があった?昨日突然走り出して今日になったら震えてるって…」
説明しようとして、口を開く。
けど、思い出そうとするとまた手が震えだす。
「あーっもういい。聞かねェから」
「わ、る…い…」
「昨日何があったかは聞かない。けどお前はここで何してんだ?これは答えられるか?」
「…体震えてるのに気づいて…今は泳げないから、走ってくるっていて走ってたけど…途中で、走れなくなった」
震えの止まった手を見て、ギュッと握りしめる。
「…立てるか?お前のテントまで送ってやる」
「いい。今戻っても普通でいれる自信はねぇ」
「じゃあ、ここにんのかよ」
凛の言葉に頷く。
「落ち着くまでここに居る。悪いな、引きとめて…もう、練習始まるだろ?戻っていいから」
「そんなになってるお前を置いて行けると思うか!!?」
「…もう、平気だ」
凛はあからさまに溜息をついてこちらに手を伸ばす。
「俺達が泊まってるところのロビーで休んでろ」
「迷惑になるからいいよ」
「俺達はもう練習でみんないなくなる。別に平気だ」
無理矢理俺の手を掴んで立たせた凛がすたすたと歩いて行く。
「パーカー、濡らしちまったから…今洗ってる。練習終わったらそれも返す」
「…お前の練習が終わるまで、ずっといるのか?」
「戻れるなら、戻れ。…無理だろ?」
チラリとこちらを振り返った凛は溜息をつく。
「なんつー、顔してんだよ。まるで人が死んだみたいじゃねぇか」
凛の言葉に、嫌な音を立てて心臓がはねた。
少し涼しいロビーに入ってソファに座らせられる。
「昼に1回戻ってくる。それまではちゃんと休んでろ」
「…わかった…」
スタッフに説明をして、凛が部屋に戻っていく。
ソファに座って、自分の両手を見つめる。
段々、まぶたが落ちてくる。
「そういや…昨日、寝てねェ…」
意識を失ってたあの時間だけか…
ソファに倒れ込んで目を閉じた。
凛視点
練習の準備をしてロビーに降りる。
アイツがいたはずのソファに人影がなくて慌てて駆け寄ると横になって眠る朱希の姿があった。
「あれ、御影君ですか?」
「あぁ…体調悪いらしくてな…さっき拾ってきた」
「…松岡先輩って、本当に御影君のこと好きですよね」
「なっ!!?好きじゃねェ!!行くぞ、似鳥」
チラリと朱希を見て小さく名前を呼ぶ。
アイツが震えてるのなんて、初めて見た。
いや、アイツが…弱ってるのが初めてだ。
大丈夫かよ、お前…
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