大会まであと5日と迫った頃。
タイムを計りながら練習をしていた。

「朱希君」
「んー?」

プールから上がって松岡の手元のストップウォッチを覗き込む。

「また速くなってる!!」
「ん、まぁタイムは上がったけど足りないんだよな…」

少しずつタイムは上がってるけど追いつけない。

「朱希君も誰かと競ってるの?」
「まぁ、そんな感じかな。もう1回、お願いしていい?」
「うん」

タイムがあと少しの所で届かない。

「朱希、お疲れ」

真琴さんからタオルを貰って松岡のもとへ行く。

「どう?」
「前回より少し速くなってるよ」

…あー、また届いてない。

「朱希、少し休憩入れた方が良いよ」
「あ、はい…ちょっと、休みます」

髪を拭きながらプールサイドに座る。

松岡から記録表を借りてそれをぼんやりと眺める。
あと一歩…のはずなんだけどな…

「朱希君」
「どうかした、松岡?」
「朱希君ってあんまり楽しそうに泳がないよね」

松岡の言葉に首を傾げる。

「別に楽しい楽しくないで泳いでないし」
「…じゃあなんで、泳いでるの?」
「約束があるからかな?それと…せめてもの、罪滅ぼし」

胸の辺りを撫でて笑う。

「俺が泳いでれば、喜ぶ人がいるから」
「それって、お兄ちゃん?」
「凛じゃないよ。もっと、俺にとって特別で…大切な人」

俺の言葉に松岡が俯く。
それに俺は首を傾げる。

「松岡?」
「…なんでもない」

よくわかんない。
真琴さんの傍に駆け寄っていく松岡を見つめて首を傾げる。
「さてと、泳ぐか…」


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