「すみません、完全に僕の力不足でした」
「そんなことないわよ。自己記録を更新したし、大したものだわ」

日が沈み、辺りがオレンジ色に染まる頃俺達は会場の外に出ていた。
結局、4人共予選落ち…か。

「みんな、本当にお疲れ様」
「やりきったって感じだよね」
「あぁ。俺達はまた別の大会目指して頑張ろう?まぁ朱希は明日頑張らないとな」

真琴さんの言葉に俺は頷く。

「頑張ります」
「期待してるよ」
「そういえば、七瀬君は?」

真琴さんが困ったように先に帰ったことを伝えた。

「それじゃあ、仕方ないわね。松岡さん、あとは…」
「あ、はい」

先生と笹部コーチが帰っていくのを見送って俺は隣に立つ松岡に視線を向ける。
…なんか、浮かない顔…

「終わっちゃったね」
「あぁ…」
「僕達も地方大会…行きたかったです…」
「あれだけ頑張って練習してきたんだから、誰か一人は行けるかもって思ってたんだけど現実は厳しかったか…」

この雰囲気で俺は明日勝っていいのかなー…
バレないように溜息をつく。
それと同じタイミングで隣から溜息が聞こえて俺は首を傾げる。

「松岡?」
「な、なに…?」
「なんか、あったか?浮かない顔してるぞ」

松岡は少し困った顔をしてから、小さく息を吐いた。

「4人には…まだ、明日があります。大会2日目…」

松岡の言葉に首を傾げる。
真琴さん達も同じく首を傾げた。

「だって、僕達のエントリー種目は今日で終わっちゃったんだよ?明日は朱希ちゃんだけでしょ?」
「2日目は確か…個人メドレーとリレー…あ、江ちゃんまさか…」

真琴さんの言葉に、松岡は俺達の前に立って両手を合わせる。

「ごめんなさい!!皆さんに内緒でメドレーリレーにエントリーしてました」
「「「えぇ―っ!?」」」
「先生には言ってあったんだけど…」

浮かない顔の理由はこれか…
なんつーか、突拍子もないことを…

「それじゃあもしリレーに勝てば…」
「地方大会に出られます。朱希君と一緒に!!」
「無茶だよ、急にそんなこと言われても俺達リレーの練習なんて何もしてこなかったし」
「どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」

渚の言葉に松岡は俯いた。
「だって…遙先輩リレーはあんまり気が進まないみたいだったし」
「やりましょう」
「え、怜ちゃん!?」
「これは僕たちに与えられた最後のチャンスです」

竜ヶ崎の言葉に俺は小さく笑った。

「練習してなくてもやってみる価値はあるんじゃないっすか?」
「朱希まで…」
「竜ヶ崎以外は経験者なんでしょ?チャンスがあるのにそれに縋らないなんてただの馬鹿がやることっすよ」

俺の言葉に2人は顔を見合わせて頷いた。

「…まぁ、あとは遙さんを説得しないとっすね」
「行こう!!ハルの家!!」

走り出した真琴さんを追ってみんなが走り出した。


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