真琴視点

「おめでとうございます!!」
「ありがとう、江ちゃん」

リレーを終えて、観客席に戻れば嬉しそうに笑う江ちゃん。
渚と怜もテンションは上がりっぱなしで…
ハルも少しだけ、嬉しそうだった。


「次は朱希ちゃんの番だねっ」
「朱希君なら余裕でしょう」
「まぁ、速いもんねー」

渚と怜の話に耳を傾けていれば江ちゃんがどこか困ったように目を彷徨わせる。

「江ちゃん、どうかした?」
「え?あ…あの…朱希君から伝言で…」
「伝言?」

喋っていた渚と怜、それからプールを見つめていたハルも江ちゃんの方を見た。

「隠してて、ごめんなさい…って」
「…それ、朱希が言ったのか!!?」
「え?あ、はい…」

ハルが慌てた様子で視線をプールに向けた。

「どういう意味?」
「何か隠し事をしていた…ということでしょうか?」
「私にはわからないんだけど…」

1年3人は顔を見合わせて首を傾げる。
俺にもわからないけど、ハルには多分思い当たる節があるんだろう。

「ハル、何か知ってるの?」
「…朱希が水泳部に入りたがらなかった理由…」
「え?」
「朱希が隠してたのは…きっとそれだ」

プールに選手たちが入ってくる。
第6レーンに朱希がいた。
岩鳶のジャージを着て胸元を掴んでいる。


「入りたがらなかった理由…?」
「俺は偶然知った…」
「それって?」
「…見ていればわかる」

全員が手すりにつかまって朱希を見つめる。

1度こちらに視線を向けた朱希だったが、すぐに視線を逸らす。
そして、ジャージを脱いだ。

「そう言えば朱希君の上半身初めて見るかも」

どこか嬉しそうな江ちゃんの声。
そういえば…俺も見たことない…

脱いだジャージを置くためにこちらに背中を向けた朱希に俺達は言葉を失った。


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