「朱希?」
俺の名前を呼んだ凛の方を向こうとするけれど意識が吸い込まれていく。
「少し…寝る」
「ちょ、おい…て…もう寝てる…」
ソファに倒れ込んで眠る朱希に手を伸ばして触れるか触れないかと言うところで手を止めた。
ずっと望んでいた朱希が傍にいるのに…
心のもやもやして仕方ない。
朱希の話と、ハル達のリレーのときの光景が消えない。
朱希は俺のせいじゃないって言ったけど…
俺は我儘を言わなければこんなことにはならなかった。
俺の隣には朱希がいて、##NAEM2##の隣に朱希の兄貴がいて…
朱希の兄貴は長期休暇とかの短い間しか一緒にいられなかったけど、あの時が今も続いていたのかもしれない…
「朱希…」
ハルに負けたとき…隣に朱希がいたら…
オーストラリアで朱希が俺を迎えてくれたなら…
もっと違う未来があったのかもしれない。
アイツらとまた一緒に…
「何考えてんだ…俺…」
スポドリを飲み干してソファの背もたれに体を預けて目を閉じる。
今は朱希が隣にいるだけでいい…
好きな人に拒絶されるのはもう…嫌だ。
髪に何か触れる感覚に目を開くと俺を見下ろす朱希。
「はよ」
「…あれ…俺、寝てた…て、はぁ!!?ななななんで膝枕!!?」
「首痛くなりそうだったから、つい。目の腫れも少し引いたし…飯食いに行くか」
慌てて起き上がった俺に朱希が笑う。
「ジャージのままでいいか?俺の服着る?」
「このままでいい」
朱希が、ここにいる。
手を伸ばす距離に朱希が…
右手を朱希の背中に伸ばすと振り返った朱希が笑いながら俺の手を掴んだ。
「甘えんのは今日だけにしとけよ。俺はお前の彼氏じゃねェし」
「…知ってる。けど、しょうがねぇだろ…嬉しいんだから…お前といられるの」
「…本当に、お前…馬鹿だろ」
口を手の甲で押さえて顔を逸らした朱希に首を傾げた。
「朱希?」
「あーもう、なんでもねぇよ。ほら、さっさといくぞ」
「あ、あぁ」
繋がれた手に少しだけ力を入れて俺は笑った。
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