教室に帰る途中の掲示板で足を止める。
派手な色のポスターに書かれた共におよごうの文字。

「やっぱりか…てか、何この絵…」

ピカソの絵くらいに意味が分からない。

「あれ、水泳部に興味あるの?」
「え?あ、いや…別に」

目をキラキラとさせる男子に首を横に振る。
コイツ、橘さんと古典の先生と話してた奴か…

「水泳部入らない?あと1人部員が必要なんだー」
「悪いけど、俺はパス…じゃ」
「え!!?ちょっと、待ってよー」

それから、彼が勧誘してる姿をよく見るようになった。
あと1人必要ねー…

屋上からプールを眺めながらパックのジュースを飲む。

「綺麗になったなー…あのプール」

入学したての時は草が鬱蒼と茂ってたしな…

「あ…御影君」
「あ?あぁ…松岡か…」

屋上の扉を開けて驚いている松岡から視線を向ける。

「あ、あのさ…」
「なに?」
「お兄ちゃんが…」

また凛の話か…
溜息をついて、視線をプールに向ける。

「会って、とかそういう話じゃなくて…お兄ちゃんが、水泳部に入ってないの」
「…だから?」
「何か、知らない?」

何か、か…

「悪いけど俺はなにも…」
「そっか…」

空になったパックをグシャッと潰す。
「御影君は…水泳部入らないの?」

そう俺に尋ねた松岡に微笑む。
「俺が入って一体何になる?」
「え?」
「それで凛が救われるとでも?」

松岡はまた目を見開く。
「そ、そうじゃなくて…」
「…兄貴想いなのはいいことだけどさ…俺にはもう関係ないから」

松岡の横を取り過ぎて、校舎に入る。

「水泳部か…」


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