「くだらん」 心底つまらなそうにしゃがれた声で、呟くあの人。そのそばで、先程まで動いていたヒトを見下ろす。震えるな、凛としろ、考えるな。 「なまえは、もうすぐ卒業だろう。」 「そのとおりです、マイロード。」 問いかけられた言葉に、素早く、私の隣にいた父が返した。 「お前が来るのを楽しみにしてるよ。」 父の姿が見えてないように、かの人は私を見据えている。 「はい、私もです」 笑顔で返す私に、かの人は満足そうに頷いた。
前 戻 次