Last World - 1 (1/2)
「僕の部下にならないかい?」
十年前、そうやって私に口角を上げてみせたのは、藍染惣右助という名の一人の男だった。
彼は、元五番隊の隊長。
……そう、“元”だ。
つい、昨日のこと。
藍染惣右助は、元三番隊隊長市丸ギンと、元九番隊隊長東仙要と共に、尸魂界から姿を消した。
―――裏切り、だ。
そして私は、その裏切りに手を貸した。
「では、お主は予てから奴らの計画を知っておったのじゃな?」
「……はい。」
背に両手を拘束されたまま、私は冷めた目をして答えた。
「藍染の目的は何じゃ。」
「お答え出来ません。」
私は、目の前で閉じられた瞼をゆっくりと持ち上げた老人を、濁った眼で見つめ続けた。
彼は護廷十三隊の総隊長であり、一番隊隊長でもある山本元柳斎重國である。
元柳斎は突然霊圧を上げ、しゃがれた声で言った。
「お主に拒否権は無い。答えよ。」
流石は総隊長、溢れ出る威圧感とその重苦しい霊圧は相当なものだったが、今の私にはその息苦しさを感じることさえ無駄に思えた。
「出来ません。」
私は静かに目を伏せて、自由の利かない手を握り締めた。
「私は崩玉を手に入れるための計画に手を出しました。しかしそれ以上は存じておりません。」
「ならばお主が知っている事を全て吐いてもらおうかの。」
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