Last World - 1 (2/2)
元柳斎直々の査問から解放されたのは、高かった陽が暮れかかる頃だった。
私の持ちえる情報は全て渡した。
これでやっと、全てのしがらみから解放される……―――
無機質な牢屋の天井を見上げて思い出すのは、奔放な死神代行の少年。
オレンジ色の髪に、身の丈ほどの斬魄刀を背負った、人間の。
極囚であった朽木ルキアを助け出すために、五人の人間が尸魂界にやって来た。
ルキアの魂魄に隠された崩玉を手に入れる為、藍染は死を装い、そしてその死をあまり大事にしないよう、尸魂界を掻き乱すこと。
それが私に与えられた役目だった。
その為に私は現世からやって来た者たちに手を貸した。
「助けるんだ、」
彼は言っていた。
その迷いのない強い瞳で。
「ルキアは俺の、―――」
運命、か。
本当にそんなものがあるとしたら、私の運命とはどんなものなのだろうか。
私は不思議でならなかった。
何故彼らは他人の為に自分の命を懸ける事が出来るのか。
何故彼らは、あんなにも真っ直ぐな目をしているのか……
不思議で、ならなかった。
「黒崎、一護……」
そっと呟いた私の声は、誰にも届くことなく、ただ石の壁に反射して残響を残しただけだった。