零れ落ちる (1/3)
守
っ
て
や
れ
な
か
っ
た
そのときの俺はまだ、
とても無力だったから
突然。
本当に突然の事だった。
「昨日の夕方、桑折が交通事故で亡くなったそうだ。」
桑折、と言うのは俺のクラスメイトで。
女子の中では親しい方だった、と思う。
その桑折が、突然死んだ。
中学三年の寒い冬の日の話だ。
重苦しい声で弔いの言葉を述べる担任。
涙を拭う女子。
俺の頭の中は少しずつ真っ白になって、それからどこかでふつり、と途切れた。
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