君の好みは可愛い、女の子らしい性格の子。

私は可愛らしくない


なのに君は、それが君の一番素敵なところだ、って笑うんだ。





終礼が終われば廊下にはキヨ。
まだ騒がしい教室で出来るだけゆっくり荷物を片付けるのは悪足掻き。何の話か全く分からないけど、朝の真剣な顔が忘れられなくて無駄な時間稼ぎをしていた。
それでも最後に筆箱を入れてしまえば、向かう先は廊下。

「…ごめん、待たせて」
「んーん。じゃあ行こう」



◇ ◇ ◇



ついてきた先はテニス部の部室。今日は休みで誰もいない。

「…それで話って?」
「俺さ……昨日名前と#name3#ちゃんが話してるとこ見ちゃった」

ガンと頭を殴られたような衝撃。
それはつまり私の気持ちを、いやその前に彼女はキヨが傷付くようなことをまた、

「どこ、から」
「多分一番はじめから」
「じゃあ全部、」
「うん。#name3#ちゃんにまた酷い言われようだったね、俺」

はは、と笑うキヨを直視できなくて俯く。

「でもね、名前ああいってくれて嬉しかったよ」
「え?」
「ちゃんと俺のこと分かってくれてるなぁって。ずっと近くにいたもんね」
「うん…」
「それでずっと俺のこと思っててくれたの?」
「あ、それ、は…」
「俺、全然気付かなくてごめん。名前とはずっと一緒にいて、隣にいるのが当たり前で、そんな風に思ったことがなかったんだ」
「…うん、分かってる。近くにいれるのは幼なじみの特権だし。だから、これからも、その特権を使わせて欲しいの」
「ダメ」
「……え」

どうして、とキヨを見ればこっちに手を伸ばしてきている。

「な、」
「あんなこと聞いて、意識せずにいれると思う?大分ひいたみたいだけど目、腫れるまで泣いて……」
「ど、してそれ……」
「俺だって名前の幼なじみなんだから分かるって」

そういうと彼はゆっくり私の頬を撫でた。一気に火照る顔。

「でもでも私はキヨの好きなタイプとは全然違うし…!可愛い服も似合わないし身長だって変わんないし女の子らしくないのに…!」
「それは違うよ。名前だからいいんだ」

まずは君を見ることからはじめるね、と彼は笑った。




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