ちゃんと向き合わなきゃ。
そう思って制服のまま、初めて彼に会った日と同じように駅に向かった。
初めて、なんていっても一週間足らずなんだとなんだか笑えた。



◇ ◇ ◇



あ…ここだ。
彼に話しかけられた場所。
立ち止まったそこはただの道の途中。
だけど1ミリも間違えずに立っている自信があった。.
見下ろすタイルの汚れが、見上げる建物の角度が、寸分違わずあの時のそれだ。



◇ ◇ ◇



しばらくぼう、と立っていたがこれは不審者だ。
やっと一歩踏み出そうとすると待って!と声が聞こえた。
びくり、と反射的に振り向くと、そこには輝く、オレンジ。

「な、んで……」
「俺、フラれちゃって、さー。自分はっ重いから、ダメって」

振り向いた先には肩で息をしてとぎれとぎれにはなす千石くん。
彼は完全に歩みを止めた私の腕を掴んで息を整えた。

「俺、女子の一人受け止められないような軽い男じゃないよ」
「千石、くん」

だから、と彼は続けた。

「俺と付き合って下さい」




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