家に帰ってから開いた携帯には彼からの着信とメール。
見たくなくてそのまま携帯を閉じればもうそれが光ることはなかった。
◇ ◇ ◇
「…あんたなんか無理してるでしょ」
「へ?」
昼休み、友達がそう話しかけてきた。
「自覚ないわけ?なんかこう…もやっとした暗いなんかが出てる」
「うそー…!何もないよ?」
「はあ…嘘。さあ話せ」
にこにこしながら彼女は近付いてきた。
人の不幸を面白がるな、と少し呆れてから私は口を開いた。
◇ ◇ ◇
一通り話し終わった私に彼女はふうん、となにやらバカにしたような顔で言った。
「名前さあ…逃げてるだけじゃないの?」
「は?」
「確かに千石清純は軽いらしいって私が言ったけどさーあんたと元カレの話聞いててそう結論付けたなら普段軽かろうがそういうとこはちゃんと考えてるんじゃないの?重いってフラれてる女に一目惚れってなかなかないと思うけど。
それに気になってるやつに告られてうじうじしてるとか鬱陶しいことこの上ないわ」
「…それが本音でしょ」
「まぁね。…とりあえず名前の好きなようにすればいいと思うし」
そうぽん、と頭に手を置かれて、ん、と小さく返事した。