雑記    

呼吸


息の仕方がわからなくなることがある。
胸を完璧な水平で作られた厚い鉄の板に抑えられ、果たして動いているのかも怪しい薄い動きで砂ひとつまみほど息を吸い、砂の気配を微かに感じた瞬間にはもう鉄の重みに耐えられず取り落とし、また新たにヒュっと吸う。
そんな風に呼吸を繰り返してあえいでいた。

もういっそ息など止めてしまえと無理やり力をこめると、その数秒後には最後に吸った砂の霞がぺっと吐き出され、今度は肩まで巻き添えにして腹を引きずって息ができるようになる。それならば深く吸いたいとつい欲張るものの、どれだけ吸えても吐き出されるのは唾のような混濁した何かのダマだった。

そんな風にして、時々、息をすることさえままならず、息の仕方さえもわからなくなる。
それでも生きているのだから、人とはよくわからない。