Rock you !−1
金造(20)×有名ロックミュージシャン祓魔師(25)
金造の年下ワンコみ、あると思います(真顔)
祓魔師は自衛隊、警察と並んでこの国における公権力の行使を行う職業だが、決して良い給料水準ではない。学生、社会人として副業を持つ者も多くいる。
千秋もその一人だが、少し事情が異なる。
副業があまりにも社会認知度が高いのだ。
最初は趣味でしかなかったロックバンドでボーカルとリードギターをやっていたのだが、どうやら才能があると認められたらしい、あれよあれよとハコは大きくなり、いつしかメジャーデビューしてしまっていた。今では全国ドームツアー、武道館単独ライブといった規模での演奏となり、レコ大やら米国チャートやら評価される場のクラスも上がった。
そしてなぜか、本当になぜか、千秋は顔立ちを買われたのか、雑誌のモデルやドラマなど多岐にわたる活動をさせられていた。不本意というとあれだが、街中で自分がとにかく視界に入るのは気持ちのいいものではない。
何よりも困っているのは、本業である祓魔師の仕事を圧迫していることだった。任務に出られる時間は限られ、同じ任務に参加する祓魔師たちは 色めき立つ。世間には祓魔師であることは公表していないため、あちこちに根回ししなければならない。
そんな千秋の1日は、朝6時に起きて用意をして、テレビ局かモデルの仕事、昼からレコーディングや作曲、ライブの打ち合わせ、夜はまたテレビ局やモデルの仕事をし、帰宅してから防音室で練習、そして祓魔師の仕事をして、午前3時までに寝る。
たまにロケ地などへ赴いて仕事をし、現地の祓魔師のヘルプをやることもある。
こんな片手間でも千秋は上二級、任される仕事は多いのだ。
そしてこの日も、ロケ地の京都でバラエティーの仕事をしてから、京都出張所のヘルプに入ることになった。上級が足りないらしい。今日に至ってはまともに寝ておらず、東京から京都までの車の中で寝ただけだ。
さすがにフラフラとするのだが、完璧主義者のきらいがある千秋は、それでも祓魔師の仕事をキャンセルすることはない。タメ息を堪えて、現場となる宇治の山中へ向かった。
***
宇治川の流れだけが響く鬱蒼とした森の中、集合地点で千秋は待つ。ロケ地から遠くなく、直行したら早く着いてしまった。
少しして、出張所から祓魔師がやって来た。千秋の姿を見て小走りになる。
「遅れて申し訳ない」
「いえ、俺が早く着いちゃっただけなんで」
やって来た祓魔師は4人、軽く挨拶をしていくと、最後の1人がワナワナと震えていた。
「あ、あ、まさか、ホンマに千秋さん…!!」
金髪で、千秋より3センチほど背が高い青年。両サイドの髪をピン留めしている。タレ目が特徴的だ。
この反応は、千秋が祓魔師であることを知らなかったのだろう。
「え、祓魔師やったんですか…!?」
「そうだよ、騎士團の中ではわりと知られてるんだけど…」
「し、しし志摩金造でっす!めっちゃ大ファンです!!いつも聴いてて!!」
「はは、ありがと」
称号を言うのも忘れて叫ぶように言った金造は、祓魔師としてここにいることを覚えているのだろうか。全員腕は立つ、と聞いているので大丈夫ではあるだろうが。
見かねた最年長らしい初老の祓魔師が咳払いをすると、いよいよ仕事の話になる。
任務としてはよくあるもので、山中に現れる鳥の悪魔を祓うというもの。凶暴化しており、数も多いため、念のために上級が呼ばれた。残りは全員中級の祓魔師である。また負担が大きいな、と思いながらもおくびにも出さずに頷いた。