わんわんお−1


●よく分からないパロ
金造(ケモミミ)×主(大学生)




雨の降り頻る夕方、二宮千秋は、大学が終わってから一人暮らしをしているアパートへ帰宅していた。2年になり必修科目が減り、少し日々に余裕がある。楽な単位ばかりというのもあった。

傘に打ち付ける雨音を聞きながら車線のない住宅街の道を進んでいると、見慣れた景色に見慣れないものを見つけた。

ボロボロになった通学路マークと錆びた住所表示がついた電信柱。そのすぐ隣にはオレンジ色の反射鏡が立っている。
そしてその足元に、段ボールが水を吸って黒ずんだ状態で転がり、中に茶色いものが座っていた。


「…典型的だな、おい」


それは、どこからどう見ても捨て犬だった。ゴールデンレトリバーだろうか、まだ若く小さめだが、大型犬らしくそれなりにでかい。きちんと段ボールの中にお座りしていた。
箱には綺麗な字で『拾ってください』とあり、まさに典型的な捨て犬である。

そこまで歩いて立ち止まってしまうと、レトリバーと目が合う。こちらを見上げるつぶらな瞳。濡れた毛先。


「………捨てられちゃったの」


レトリバーは応えるように、わふっ、と鳴いた。心なしか元気がなく、見上げる瞳と合間って哀愁が漂っているように感じる。


「………あーもう、なんで俺が見つけちゃったかなぁ…」


そう言いつつ、千秋は段ボールの前にしゃがみこんだ。



***



それから1年。拾ったレトリバーはすっかり成犬となり、一人暮らしの寂しさも忘れてしまうほど千秋は溺愛していた。
もともと実家でチワワとレトリバーを飼っていたため、犬の世話は慣れていたこともあり、きちんと育てられていると思う。ちなみに名前は金造だ。
実家のレトリバー(白)が銀造、チワワ(黒)が黒造だからである。ちなみに名付け親は祖父だ。
おしゃれな名前にしようかとも思ったのだが、実家に飼うことを報告した際に祖父が嬉々として名付け、正直そういうネーミングに慣れてしまった千秋もパッと同じ名前が浮かんでしまった。それもあり、名前は金造に落ち着いたのである。毛色は正直なところ、茶色である。

すっかり千秋にも懐いてくれた金造は、朝になると起こしてくれるし、家に帰ると駆け寄ってきて迎えてくれる。もう金造がいないと寂しくて生きていけない。


「金造〜おいで〜」


ソファーに座って呼び掛けると、金造は尻尾を揺らしてやって来る。前足を上げて千秋の腹に載せるようにして飛び付いてくるのを受け止めた。


「よ〜しよし、可愛いなぁ〜!」


わしゃわしゃと撫でると、嬉しげにわん、と鳴いた。ついで顔をペロペロと舐められる。


「んー、今日は仕返ししてやるぞ」


それなら今日はこちらからも仕掛けてやろうと、その鼻下に軽くキスをしてやった。



と、その次の瞬間、突然ポンという間抜けな音とともに、煙に包まれた。


「っ!?て、な…っ!」


その直後、体に先程とは比べものにならない重さがのし掛かってきた。何事か判断する暇もなく、耐えきれず背凭れに倒れ込む。それでも押し倒してくる存在が何なのか視線をやると、煙が晴れてそれが明らかになる。

そこには、全裸の青年がいた。金髪で、頭にはレトリバーの耳、腰には尻尾。やたら筋肉質な体で、175cmほどだろうか、腕を千秋の肩について覆い被さって来ていた。


「千秋!」

「誰!?!?!?!?」

「俺やで!」

「………まさかとは思うけど、金造?」

「せやで!金造や!千秋〜!!」


感極まったように、金造、だという男が抱き着いてくる。その尻尾はちぎれんばかりに揺れていた。


「ちょ、え、待っ、は?なんで人に?んなことあるか!え、でも金造どこいった?」

「ここにおるで」

「お前じゃ…っ、お前なのか…?いやでもなんで関西弁だし…てか何が…?」

「こないな設定の話で理由聞くなんて野暮やで!んなモンあらへんわ!」

「設定!?何の話だよ!?」


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