ポッキーゲーム
●ポッキーの日ネタ
温泉回の後くらい
11月11日、いよいよこの日がやって来た。
入念にシミュレーションを重ねて来たから問題はない。ポッキーも買ったし、今日は塾までない。廉造はお誂え向きの今日という日に感謝した。
まずいつも通り、皆で登校し、そこかしこで聞こえる「シェアポッキー!」というはしゃぎ声に勝呂がタメ息をついた。
「しょーもな。まんまと乗せられよって…」
ごめんなさい、乗せられました、と内心で思いながらも廉造は苦笑を返す。ちらりと朝祇を見れば、朝祇も呆れたように女子たちを見ていた。
「プリッツとトッポの気持ち考えたことあんのかな…」
またそないな変な観点で捉えよって、可愛い好き、なんて廉造は思う。何を言ってももう朝祇が可愛く見えてしまう。イルミナティから帰ってこれたこともあって、そのフィルターは完全にオーバーヒートしていた。
教室では、クラスの女子たちから大量のポッキーをシェアされた。気を遣ったのか何なのか、しょっぱい担当でプリッツとじゃがりこをシェアする女子もいた。
「トッポが何したって言うんだ…最後までチョコたっぷりなのに…」
トッポのまわし者かいかわええな好き、と廉造はニヤけた。残念ながら用意したのはポッキーなのだが、まぁ致し方あるまい。
「あ、でも小枝もいいよな…」
棒状のものならなんでもええんかい、と廉造は突っこみつつ、せやけどかいらし、と心の中で付け足す。何でもいいなら俺の股間の棒状のものはどうやろ、なんて言ってやりたい気もしたが、きっとシンクの三角コーナーの生ゴミを見るような目で見られるであろうことが容易に想像されて黙った。
「お前の粗末な小枝で?ハッ」なんて鼻で笑われたら立ち直れない。だが、「その小枝でアンアン言わされとるやろ〜」なんて言って夜にぶち犯してやるのもアリか、なんて思い直す。
「お前、今変なこと考えてるだろ」
「へ?なんで?」
「目つきがやらしいんだよ、こっち見んな」
どうやらお見通しだったらしい。さすが朝祇、隠すのが難しい。
学校が終わると、皆で勉強しようということになった。誰もいなくなった廉造たちの教室に、燐や勝呂、子猫丸も集まっていつものメンバーになる。オーディエンスがいるのは気になるが、まぁこのメンバーならいいだろう、と廉造は鞄からポッキーを取り出した。いよいよ決行だ。机をくっつけあう勝呂たちが、それを終えて椅子に座ったところで口火を切る。
「なぁなぁ朝祇、ポッキーゲームせぇへん?」
「…は?」
「志摩さん…」
顔をしかめる朝祇に、憐れむような声を出す子猫丸。勝呂はタメ息をもう一度ついた。
「勉強せぇや」
「その前にちょっとだけ!な?ええやろ?」
「…はぁ、嫌っつっても聞かないだろ」
朝祇はタメ息混じりに諦める。そんな朝祇に、燐は「大変だな…」と励ましのような言葉をかける。燐と子猫丸が1番失礼ではないか。
「おーきに!んじゃ、こっちくわえたって〜」
さっそくポッキーを一本出すと、チョコの方を朝祇にくわえさせる。案外素直に応じてくれたのは、きっと途中でわざと折って終わらせる算段だからだ。
甘い。まったくもって甘い。チョコのように甘い。
朝祇が廉造のエロい思考をお見通しだったように、廉造も朝祇の魂胆などまるっとお見通しなのだ。
チョコの方をくわえて待つ朝祇。呆れたように眺める勝呂たち。廉造は持ち手の方に口を近付けた。
その次の瞬間、廉造は取っ手を持ってさっとポッキーを引き抜くと、目を見張る朝祇の口に軽くキスを落とした。
そして、ポッキーをポリポリと食べ出す。
「俺の勝ち」
ニヤリとした廉造に、朝祇は珍しく顔を赤らめた。オーディエンスがいて良かった、二人きりなら確実に押し倒していた。
と、思った直後、いつのまにか朝祇のモンペと化していた燐と勝呂がゆらりと立ち上がる。
やらかした、と思ったときには、もう遅かった。