Modern: Revolution for Revolution
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続いてやってきたのはロシアだ。
"ヨーロッパの憲兵"と呼ばれ、自由主義者の革命を潰しウィーン体制を維持する一大勢力である。
様々な資本の需要が見込まれ、近場の貿易先では最大の得意先になるだろう。
「ズドラーストビチェ、アルレシア君」
「おう。元気そうだな」
屋敷で出迎えたロシアに招かれ、リビングに向かう。
「あ…アルレシア、久しぶり、」
リビングにはリトアニアがいた。
使用人のような格好で箒を手にしている。
「リトアニアか…久しぶり…」
あまり触れない方が良さそうだ。
リトアニアはそそくさとリビングを退室した。
「気にしないでね」
「…あぁ」
ソファーに向かい合って座ると、フィンランドが紅茶を持ってきた。
「アルレシア君か…」
「よおフィンランド…」
こちらもやつれた顔だ。
机に紅茶を置いて、やはりさっさと出て行った。
「ふふ、僕嬉しいなぁ。こうしてアルレシア君が来てくれるなんて」
「そうか?」
「うん。だって、アルレシア君は今まであまり国際社会に関わらなかったでしょ?それが革命の後変わって、どこに向かうのかってすごく注目を集めてるんだ」
「初めて知ったな」
「だから、僕のところに来てくれて嬉しいんだ」
純朴に笑う様子に毒気はない。
だが、油断していい相手でもない。
「それにね、」
「まだあんのか」
「これは僕個人の話。アルレシア君はいつもみんなに囲まれてるから、その輪に入りたかったんだ」
ロシアが言うには、アルレシアがいつもイギリスやフランス、オランダや北欧に囲まれていて、それが楽しそうに見えていたらしい。
「ウィーン会議のあと、また"友達"が増えたけど…みんな、僕のことを怖がるんだ」
ロシアはそう言って、少し悲しそうに笑った。
「僕は冷たいから」
「…それは、違うだろ」
アルレシアははっきりそう言った。
「お前は、お前自身は、別に冷たいやつじゃないはずだ。どう上司が動こうと。俺は、お前自身が見たい」
ロシアは面食らった顔をした。
「本当?」
「嘘はつかねえよ。ま、お互い知らないことばっかだ、これから仲良くしよう」
微笑むアルレシアに、ロシアも微笑んだ。
「…やっぱり…欲しい、なぁ…」
「何か言ったか?」
「こちらこそって。農業は任せてよ」
「おー、頼りにしてる」
こうして、アルレシアはプロイセン、ロシアと関係を新たに深め始めたのだった。
1848年、2月。
フランスでは、七月王政への不満が爆発し、二月革命が勃発した。
この頃、産業革命で生まれた格差によって虐げられた労働者たちの間に社会主義が生まれ、マルクスらによる思想の確立で勢いづいていた。
同時に、多民族国家であるオーストリア帝国やロシアでも革命が発生。
ウィーン三月革命やポーランド独立運動、ハンガリー民族運動やロンバルディア騒乱などがあったが、主にロシアがこれらを鎮圧した。
プロイセンでも自由主義者らがベルリン三月革命を起こし、ドイツ地域では統一を目指してフランクフルト国民議会が開かれた。
しかしオーストリアを含め統一する大ドイツ主義と含めない小ドイツ主義が対立し、結局失敗に終わった。
イタリアの独立運動もオーストリアやフランスに阻まれ、ドイツとイタリアの統一は一見遠退いたようだった。
だが両国はこの後、有能な指導者の登場で一気に統一へ向かう。
奇しくも枢軸を構成することになる日本も、この頃開国、統一へ向かっていた。
革命の元であるフランスでは第二共和政府が発足したが、社会主義的改革は七月革命以降進んだ産業革命に合わず、人々は不信状態だった。
そこへ、あのナポレオンの甥が現れた。
人々は彼に期待を抱き、また、強きフランスを取り戻して欲しいと望んだ。
そして1852年、クーデタによってナポレオン3世が皇帝に即位した。
ウィーン体制はここに完全に崩壊し、19世紀後半より新たな国際社会の流れが生まれるのだった。