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無理矢理表現注意
屋敷に戻ってきたルクセンブルクたちは、すぐ使用人にスペインの居場所を聞いた。
しかし、スペインは間の悪いことにオーストリアのところに行っており不在。ベルギーは止まっていた涙がまた溢れだしてきた。
「どないしよ…スペイン親分おらんなんて…」
ルクセンブルクはダメ元で提案する。
「オランダ兄さんに…」
「それや!!それしかあらへん!!」
まだ言い終わる前からベルギーが反応した。ルクセンブルクは面食らいつつ「そうですね…?」とだけ返した。
ベルギーはすぐさまオランダの執務室に向かい、ルクセンブルクもついていく。ロマーノは休ませた。
「お兄ちゃん!!」
バン、とベルギーは執務室の扉を開け放ち、オランダはさすがに驚いたような表情をした。
「なんやじゃかぁしい」
「大変なんや!アルレ兄ちゃんが人さらいに拐われてもうて…!」
ルクセンブルクは、オランダが「ほんなん知らんわ、捕まる方が悪い」というような冷めた態度をとり、ベルギーを激昂させてしまうのでは、とひやひやとした。
しかし、オランダは椅子をガタリと音を立てて倒して立ち上がった。
「どこや」
「麓の街の、西の外れの路地や!」
「俺が行く、お前らは待ちねま」
トントン拍子でオランダは執務室を出て、走って馬屋へと向かった。
唖然としていれば、ベルギーは屋敷の礼拝堂へと向かおうとする。
「ちょ、ちょっと姉さん、オランダ兄さんはなんであんな、」
慌てたようなルクセンブルクに、ベルギーは呆れた目線を投げ掛ける。
「お兄ちゃん、ずっとアルレ兄ちゃんに片想いしとるんやで。知らんかったの?」
「え……ええええ」
「鈍感ばっかりかいな!!!ええからお祈りするで!!」
驚くルクセンブルクを、ベルギーは引っ張って礼拝堂へとアルレシアの無事を祈りに行った。
***
街外れの森。打ち捨てられた廃墟が、人さらいのアジトだった。
1階建ての民家だった建物で、廃墟だがしっかりと建物は残っている。
そのリビング部分、10人以上の男たちが手狭そうに集まり、部屋の中央を見詰めていた。
そこには、椅子に縛り付けられたアルレシアと、横に立つスキンヘッドの 男、彼らのリーダーだ。
「お前は売りもんにするけどな、その前に俺らで可愛がってやるさかい、たっぷり啼くんやでぇ?」
教会も民衆も、同性愛が横行していた16世紀。ルターの宗教改革の矛先のひとつでもあった。
そうでなくとも、アルレシアの外見は人目をひく。
スキンヘッドはアルレシアのガウンとプールポワンを脱がせて床に放り、シュミーズ一枚にする。
大きく開いたシュミーズの前襟から、スキンヘッドはゆっくり手を差し込んだ。
「エロいやり方やんなぁ!」
「あー、高まってきたでぇ…」
きめ細かい肌を味わうように、男の武骨な手はアルレシアの鎖骨から胸元へと下る。
そして、乳首に至るなりそこをきゅっと締め付けた。
「…っ、」
「感じるんか…?えぇ…?」
耳元で男は囁き、ついでアルレシアの耳たぶを舐め上げる。
「…くっ、…!」
「声上げてええんやで?まっ、始まったばかりやし、無理にとは言わへんけどな」
男はシュミーズをたくしあげ、均整のとれたアルレシアの上半身を空気に晒す。
「ほらお前ら、ええで」
「ええんすか!!」
「ひひっ…」
スキンヘッドは近くにいた別の男たちを呼んだ。呼ばれた男たちは、晒されたアルレシアの体を舐めたり厭らしく触ったりし始める。
スキンヘッドはアルレシアの首筋から耳元にかけてを舐め上げる。
同時に複数の刺激を与えられ、アルレシアは耐えていた声を少し漏らしてしまう。
「ぅ、あぁ…っ!」
「ほぉら、見てみ?こんだけたくさんの男たちが、これからお前の中に入ってくるんやで、それも何回もな」
生理的な涙目で部屋を見れば、欲情した雄猿たちがアルレシアの痴態を食い入るように見つめていた。
10人以上の男たちに、これから廻されるのだと言う。
正直、死んだ方がマシだ。
いっそ舌を噛みきってしまおうか。そんなことまで考えたが、アルレシアの脳裏に、ある顔が浮かんだ。
あぁ、でも、まだ仲直りできてないなぁ。
アルレシアは、ここ数十年ほどまともに会話していないクールな顔立ちの男を思いやる。せめて、何をしてしまったのかだけでも知って、謝りたかった。
そう思って目を閉じる。その拍子に、目尻から涙が一粒零れ、伝い落ちた。
そしてその次の瞬間、リビングに繋がる扉が思いきりぶち破られ、背の高い立派な体格の青年が現れた。
まさに今この瞬間、思い浮かべていた人物。
不機嫌そうな顔を凶悪に歪め、今にも全員殺しそうな顔をした、オランダがそこに立っていた。