新たな双子のかたち−11
経験のない強い刺激にあられもない声が出てしまって、咄嗟に恥ずかしさから腕を口元に押し当てる。それに気づいた焦凍は、灯水の腕をどかそうとした。
「や、だ焦凍、」
「聞かせろよ。可愛いから」
「恥ずかし、んんっ、」
「声我慢するとつれぇぞ」
焦凍は体を寄せて、灯水の耳元に口元を寄せる。吐息がかかり、肩が震えたところで、ふっと息を吹きかけられた。
途端にぞわぞわしたものが背中を駆けあがり、腕をしていても声が出てしまう。
「ひっ、あっ、」
「…かわいい」
低く濡れた声がすぐ耳元で響き、ぞくぞくと腰に溜まるように背中を何かが駆けていく。
「服、脱がすぞ」
邪魔だと思ったのか、焦凍は灯水のシャツを脱がした。されるがままになると、焦凍も自身のシャツを脱ぐ。引き締まった体が晒されて、風呂で感じたようなドキドキが再び心臓を打つ。
「…見すぎ」
「焦凍だって」
「そうだな」
焦凍は薄く笑うと、体を重ね合わせてきた。逞しい焦凍の上体が灯水の肌と触れ合い、熱が直接伝わる。焦凍の腕が灯水の背中に回って、布団で体を浮かせておとなしく抱きしめられる。手のひらが軽く掴むように後頭部に回るため、焦凍に全身包み込まれているような気がして、とても安心感があった。
灯水も焦凍の背中に腕を寄せると、今まで一番、2人の距離が近くなった。
「…あったかい」
「寒いか?」
「どっちにしても俺ら調節できるじゃん。そうじゃなくて、なんか、心がポカポカする感じ」
「かわいい」
「さっきからそればっか」
「それしか言えねぇくらいかわいいんだって」
そんな軽い会話が遅めのテンポで交わされる。そういえば、中学のときからちょくちょく焦凍には可愛いと言われていた。ずっと我慢していたという言葉は、本当にずっとだったんだろう。
それにしても、こうして肌が合わさっているというのは、ひどく心地よく、安心した。愛情表現というのも頷ける。こうして一番近いところに焦凍を感じると、焦凍のことが愛しいという気持ちが改めて知覚された。
「焦凍」
「ん?」
「……すき」
「…俺も」
目が合うと少し照れくさくなって互いに笑う。そして、自然と唇を重ねていた。キスだって、焦凍と繋がっている感覚がして好きだった。
また舌が入り込んできて、灯水の舌と絡む。その合間に焦凍は灯水の体に手を這わせて、ジャージの下に手を突っ込んできた。
「んぁっ、ふ、んっ、」
焦凍の左手は胸元を、右手は灯水の下着の中をまさぐり、快感の元を直接責められて体が震えた。
ただ、されてばかりなのも嫌だったので、灯水は焦凍のスウェットの下に自分の手を差し入れた。焦凍もぴくりと震えると、唇を離す。
「っ、灯水…」
「お、れも…一緒がいい」
「ん、分かった」
焦凍は頷いて、灯水のジャージを下着ごと脱がす。ついで自分のものも脱ぐと、2人の昂ぶりを重ねた。
まとめて灯水の手に握らせ、さらにそれを焦凍の手が包み込む。
「一緒に動かして、そう」
「ん、やば、これ…」
2人の屹立を合わせて扱くと、重なった部分が擦れる感覚も合わさって大きな快感になる。焦凍も息を吐くと、灯水と一緒に手を動かしながら、灯水の鎖骨から首筋を舐め上げた。
「ぁっ!」
「はぁっ、灯水…かわいい…すきだ…」
うわごとのように焦凍は言うと、灯水の耳元に顔を寄せるようにして腕をつき、灯水の手ごと扱く手を速める。
「んぅ、はぁっ、あっ、しょ、うと…!」
「灯水っ、くっ、!」
耳元に灯水の吐息がかかって、全身が痺れるような感じがした。昂ぶりはさらに高みへと上っていく。
「焦凍、も、だめだ…!」
「お、れも……灯水……っ!」
苦しそうな2人分の声。そして、頭が真っ白になるような、目がチカチカとするような感覚とともに、2人は自身の白濁を吐き出した。灯水の腹にぶちまけられる熱。
部屋には2人の荒い呼吸だけが響いた。
「はぁ…はぁ…大丈夫か、灯水」
「だい、じょうぶ……はぁぁ、なんだこれ…」
こんな気持ちいいことがあるのかと思うが、それは焦凍とだったからに他ならない。同時に、2人とも思わず漏れた声に、2人の心の声が含まれていた。自然と互いを愛しく思う気持ちが発露していたのだ。
もう迷うことはない。そういう意味でも焦凍のことが好きだ。きちんと伝えた通り、2人は新しい形をスタートさせられたのである。
こんなに幸せなことはないと、そう思えた。