特別なこと
−2
しばらく別の菓子とコーヒーを楽しんでいると、アルレシアが何やらそわそわとし始めた。
顔が若干赤らんでおり、やたらソファーに座り直してしている。
「…どした」
「え、いや…?」
あくまで何も言わないつもりらしい。
だがどんどん様子はおかしくなっていく。
眉根を寄せ、時折びくりと体を揺らす。
は、と息を漏らすようにもなった。
―――効いている。
ノルウェーはほくそ笑みながら、普段通りの声を出す。
「調子悪ぐねえか」
「大丈夫だって、っ、あのさ、…トイレ、借りていいか」
そうきたか。
自分で処理されては困る。
「わり、トイレ修理中だ」
「そう、か…」
落ち着いて考えれば、それが嘘だと分かるはずだ。
広い家のすべてのトイレが修理中などありえない。
某便利店曲風に言えば「じゃああなたはどこでするのよ?」状態だ。
そんなことも考えられないような状態。
これは、催淫作用だ。
妖精がかけた魔法は催淫効果をもたらす。
こうやって上手く事を運ぼうという作戦だ。
だが、ノルウェーは少し欲が出て、アルレシアから誘って欲しくなっていた。
それにはまだ及ばないようだ。
そこに、ぽんと音を立てて先程の妖精が現れる。
「うーん、さすがアルレシアさん。これじゃ埒が明かないのでもう少し強いのかけますね、体に影響はないですよ」
言うなり妖精は魔法をかけ、直後消え失せた。
邪魔しないように配慮したのだろう。
妖精が消えた空間からアルレシアに視線を移すと、様子が見るからに変わっていた。
「はぁ、ん、…」
目をぎゅっと閉じ、何かに耐えるようにしている。
動くと服が擦れて感じるのか、じっと動かない。
ノルウェーはアルレシアの隣に移動し、心配そうに装う。
「…悪いどこねえか、大丈夫か」
「…、…ぅ、大丈、夫、」
背中をさすりながら言えば、それにすら感じている。
「…つらかったら言え、俺が何とかしてやるべ」
「……、」
ぼんやりとアルレシアはノルウェーを見遣る。
「…ノルウェー、」
アルレシアは、ゆっくり立ち上がり、ノルウェーの膝の上に向かい合うように座った。
「アルレ…?」
「なんとか、してくれんの…?」
「…ん」
アルレシアは首に手を回し、首元に頭を乗せる。
「…あつい、からだじゅう、へんだ…」
「…治してやる」
ノルウェーはアルレシアを立たせ立ち上がるが、アルレシアは長く立っていることすらできずノルウェーにもたれかかる。
「わっ、」
「…、と…抱っこすっか?」
「…うん」
ノルウェーはアルレシアをお姫様抱っこする。
アルレシアもそれに気付かずおとなしく腕に抱かれた。