君が好きと言ったから
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とりあえず菓子を買い、何を言われるか分かったもんじゃない、とイギリスは急いで屋台を離れた。
アルレシアはそこで、この先の通りは同じように屋台がところどころに建ち、人々も活気にあふれているのに気付いた。
「イギリス、ここ」
「あぁ、庶民向けの軽い市場みたいなもんだ」
「そうなのか…なぁ、ここ通っても屋敷に行けたよな?」
「…そうだな、多分」
「じゃあこっちから行こう」
アルレシアはイギリスを引っ張ってその道に入った。
通りの庶民たちは何やら食べながら普通に歩く。
貴族ではやらないだろう。
アルレシアは楽しくなって、真似して歩きながら先ほどの菓子を食べ始めた。
「あ、おい、」
「いいじゃん別に。お前もやれば?」
アルレシアがやっているなら、と脳裏に考えが浮かび、否定しようとしたが、楽しそうなアルレシアにすぐ否定は消えた。
結局、イギリスも食べ歩きをする。
「この辺りはみんな明るいな」
陽気に歌ったり、威勢よくものを売ったり買ったり。
イギリスも、あまり見かけない光景にキョロキョロとした。
「俺こういう感じ好きなんだ」
アルレシアは自然と口元を緩ませている。
イギリスの家に来て、ようやく楽しげにしてくれた。
それがイギリスにはうれしかった。
しかし庶民の通りはやはり庶民向け、道の舗装状態はより悪い。
人混みに隠れ見えなかったぬかるみに、アルレシアは足を取られた。
「うわっ、」
転びそうになり思わず声を発してしまった。
だが体は転ばず、温もりに包まれる。
「あぶねえな…」
頭上から聞こえた声を見上げると、イギリスの呆れたような顔。
お互い菓子を食べ終わっていたから良かった。
「わり…ありがと」
「あぁ。でもやっぱ道悪いな、港行くときは大通りの方がいいんじゃないか?」
「…いや、俺この通りから行くよ。気に入ったから」
「…お前がそう言うならいいけど…」
反対しなかったのが嬉しかったのか、アルレシアは「ありがと」と言って笑った。
今日はたくさん笑顔が見れたし、まぁいいか、とイギリスも笑って歩き出した。