hug me, hug you !
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●ハグするとストレスが減る件
上司たちがG20やら何やらをやっているように、国たちもそれに合わせて特に中身のないことを話している。
今回はOECD会議ということで、先進国ばかりが集まる会議である。いつもの世界会議よりも数はぐっと減るが、騒ぐ奴らは基本的に先進国たちであることが多いため、会議の騒々しさは変わらない。
「はぁ…こんな身のないモンなら家で寝てたかったわ」
「なしたアルレシア、疲れてんのけ?」
ため息をしながら伸びをすると、隣のデンマークが心配そうにのぞき込んできた。その隣のノルウェーも心配げな視線を向ける。この2人はいつも過保護だ。
「そんな大したことじゃねぇけど…まぁ、ちょっと」
「そういやよ!知ってっかアルレシア!」
「あんこうるせ」
控えめに肯定すると、デンマークは何かを思い出したのか突然大声で言うなり肩を掴んでくる。
「な、なんだよ」
「ハグするとその日のストレスの30%が軽減されるってぇ話だっぺ!すんげえだろ!!」
「へ、へぇ…」
「ってことだ!アルレシア!」
するとデンマークは笑顔で立ち上がると、思い切りアルレシアを引っ張り上げた。
体格も力の強さも遥かにアルレシアを上回るデンマークに引っ張り上げられては抵抗できない。
「う、わっ!」
ぼす、と硬い胸板に衝突し、普通に痛みが走る。背の高いデンマークに抱き締められると包まれるようで安心しないでもないが、打ち付けた鼻の痛みがじんじんと響く。
「なーにやってんだこの」
「安心できていがっぺ?」
「…や、顔打っていてぇ。ストレス+25%だわ」
「えっ!?」
「言わんごっちゃね、反省しろ」
ノルウェーは呆れたように言うとデンマークを引きはがし、痛む鼻にそっと触れる。
「赤くなってんでねぇか…」
「そんなすげえ痛いわけじゃないけどな」
「…ん、代わりに俺がハグしてやっから」
するとノルウェーは、優しく触れていた指をアルレシアの後頭部に回すと、ゆっくりとアルレシアを抱きしめた。デンマークよりは低い背のノルウェーだが、肩に顎を乗せるようにして応じると、まぁ、悪くない感じがした。
「…あ、いげね、妖精挟まっでだ」
「……妖精」
ノルウェーは体を離すと何かを掴まえ、ひょいっと空気中に放る。当然、何も見えていない。
「どうだアルレ、疲れ取れたか…?」
「…ま、まぁまぁな…」
こちらは心に余計な引っかかりを残されてしまった。痛みのように治らない分たちが悪い。
反応に困っていると、見慣れた髭と眉がやって来た。後ろにはやかましいメタボもいる。
「ちょっと楽しそうなことしてるじゃない」
「何抱き合ってんだお前ら…つかこいつノルウェーの友達か?」
「haha!相変わらず変なモノが見えてるんだな君は!それよりアルレシア、いったい何のイベントだい?」
フランスはによによとして寄ってくる。
イギリスはノルウェーとともに見えない何かについて語っていて、アメリカはそれを小ばかにしてからこちらに合流した。
「あー…疲れたって言ったら、デンマークがハグするとストレスが30%減るって言いだして」
「それでデンマークとノルウェーに抱き締められてたわけね」
「それなら俺もなんだぞ!」
フランスが納得したように言うと、アメリカが強引にアルレシアを抱き寄せた。ひとこと言えばいいのは合っているのだが、言いながら行動されては意味がない。
結局、デンマークと同じく鼻を打ち付ける結果となった。
「いって、」
「おっとすまない!」
「…まぁ、デンマークより柔らかいから痛くはないわ」
「!?それって太ってるってことかい!?」
「…さぁ」
ガーン、とするアメリカは、同じ轍を踏んだデンマークからケラケラと笑われながら励まされていた。
「どう?アルレシア。ストレス減ってる?」
「増えてる気しかしねぇ」
「だろうね」
フランスは愉快そうにアメリカを見ている。そこに、ノルウェーから事情を聞いたイギリスもやって来た。ノルウェーはデンマークを突きに行った。