メクレンブルクと中欧史
−近世の大動乱: ヴェストファーレン
●三十年戦争第三期〜第四期
皇帝が発布した復旧令は、皇帝権限を強めるものとして新旧関係なく領邦たちに批判された。そのごたごたで、皇帝は選帝侯たちからヴァレンシュタイン罷免を求められてた。
「今すぐ罷免しねぇと息子推挙しねぇぞ!!」
レーゲンスブルク選帝侯会議でギルベルトがそう圧力をかけたため、皇帝側は渋々ヴァレンシュタインを罷免。ギルベルトはようやくレイスが安心できるといって報告してくれた。
あれからギルベルトは言葉通り本当にずっと側にいてくれた。そのため襲われることなどなかったし、ポーランドとスウェーデンの戦争が終わったことで落ち着いていたこともあってギルベルトは元気になった。
そして1630年、ついにスウェーデンがアップを終えて侵攻を開始、戦いは第三期へと突入した。
まずグスタフ・アドルフはポンメルンに上陸し、ポンメルン公を脅して同盟させた。そして西ポンメルンを事実上占領すると、ヘッセン=カッセル、マグデブルクもこれに賛同した。
一方の皇帝側は、メクレンブルクを抑えて補給を受けようとしたが失敗する。この地をいまだ支配するヴァレンシュタインが補給を行わなかったためである。罷免の腹いせといったところか。
補給を受けられない皇帝軍は暴走し、マグデブルクを略奪。壊滅した都市に、帝国全土から批判が巻き起こった。それでも皇帝軍は補給が足りない。
グスタフ・アドルフは、さらにブランデンブルク選帝侯に脅しをかけた。
「何も言わねぇど全部寄越せ」
「ひぇっ…わ、分かったよこの野郎」
ギルベルトはスウェーデンの眼力に屈し、ブランデンブルク選帝侯領の全財産をスウェーデンに託すというとんでもない条約に調印、補給はスウェーデンのものとなった。
また、復旧令が撤回されないことについにキレたザクセンもスウェーデンと同盟し、北ドイツは次々とスウェーデンについていった。
そして1631年。スウェーデンはメクレンブルクを占領すると、隠れていたメクレンブルク公の2人を解放、公位を返還させた。
「大事ねぇか」
「スウェーデン…ありがと、ほんと、助かった」
度重なる略奪によって壊滅状態だったメクレンブルクは、この解放によってこれ以上の搾取にあう心配はなくなった。スウェーデンに依存する地域として半分占領された状態ではあったため、補給は提供したものの、もともと貧しく、戦争によって荒廃したメクレンブルクから持っていけるものなどたかが知れていた。
しかし1632年、グスタフ・アドルフがリュッツェンの戦いで死亡すると、皇帝側では1634年にヴァレンシュタインも暗殺され、戦況はどうなるか分からなくなってくる。
スウェーデンは幼いクリスティーナが即位し、宰相オクセンシェルナが采配を振るった。そしてハイルブロン同盟を結んで諸侯を束ねるも、結束力に欠き、フランスとの協調もうまくいかなかったことから、ネルトリンゲンの戦いで敗北する。
皇帝はその後、すぐに寝返ったザクセンをはじめとする諸侯たちとプラハ条約を結び、この戦いはスウェーデンの敗北によって停戦。帝国は皇帝にもとに統一されなおされてしまった。
その後、同盟を組みなおしたフランス、スウェーデン、オランダによって三方面作戦が展開され第四期が開始されるのだが、この頃にはレイスもギルベルトも直接戦いには参加しないようになっていた。
ゲオルク・ヴィルヘルムについでブランデンブルク=プロイセンの領主となっていたフリードリヒ・ヴィルヘルムは、一応はプラハ条約に則って皇帝側についていた。
しかし、1635年にスウェーデンがポンメルンからエルベ川沿いにボヘミア、ウィーンへと至るルートでの進撃を開始すると、領内での通行を黙認。ちなみにメクレンブルクに至っては通行すらなかった。
やがて1642年には中立を宣言し皇帝を見限った。隣のザクセンは先の戦いでスウェーデンを見捨てた前科からスウェーデンにボコボコにされている。
ボヘミアはスウェーデンとトランシルヴァニア公国によって荒らされ、バイエルン、プファルツ、ネーデルラントも激しい戦闘が繰り広げられた。ドイツ中がめちゃくちゃになる中で、すでにボロボロになったレイスは誰にも相手にされず、それをいいことにこっそりとレイスは司教領をルター派であるメクレンブルク家に接収していた。
そんな状況で、各国はついに戦争に飽きると、講和を開始。そして1648年、ウェストファリアの講和によって、三十年戦争は閉幕するのであった。
レイスは領土の減少こそなかったものの、略奪によって人口が半分以上減少し疲弊しきっていた。ブランデンブルク=プロイセンも、ブランデンブルク選帝侯領が荒らされプロイセンもスウェーデンに占領されたことで全土が荒廃し人口の半分を喪失していたが、東ポンメルンを獲得した。
「俺もう絶対戦争しない」
「俺様は漁夫の利だったぜー」
「…はいはい」
とりあえず、この酷い戦争を2人で生き残ることができた。それだけで、満足と言える。このまま、とりあえず命だけは繋いでいけたら。そう思って、レイスはとりあえず浮かれているギルベルトに膝カックンをしかけるのだった。