第四話: 娯楽都市の番犬−4
及川のものはかなり大きくなっていて、長さも太さも硬さも、男として申し分ない。とりたてて大きいわけではないが、十分だろう。顔に似合って綺麗な形をしたそれを口にくわえ、バイブを起動して緩く動かす。鈍い振動音が部屋に響いた。
裏側から頭に向かって舐めつつ口から出していき、再びくわえ込んで口内で鈴口をくすぐる。及川が頭上で息を詰めるのが分かった。
「っ、さすがに、うまいね。いい子いい子、」
及川はそう言うと、よしよしと褒めるように漣の頭を撫でた。余裕を崩さずにいるあたり、やはり部長を張るだけの精神力をしている。
「…青城セキュアがこの話に乗ったのは、長期的にこの国の治安が悪化するからだよ。密輸されているものの大部分は銃。それから、大麻やマリファナ、覚せい剤。あとは、非合法なルートで提供される医薬品、医療用の化学薬品。そういう裏社会の必須アイテムを大量に輸入してんの。銃や麻薬が大量に流入することで、日本においても銃犯罪やテロが増え、人々の不安が増す。そして青城セキュアへの受注が増える」
お気に召したようで、及川は丁寧に青城セキュアとしてのメリットを語った。銃の大量流入によって、末端まで銃が行き届くことで日本の治安は悪化する。東京オリンピックや大規模な外国人単純労働者の受け入れによって首都圏の治安は悪化しつつあるが、そこに銃が投入されることで、ますます治安が悪化し、青城セキュアは仕事が増える。
そうした長期的なメリットのためにこの密輸を請け負っているらしい。もちろん、実行役としてのマージンはある。
「マージンのほとんどはしらとり銀行が洗浄してる。あとは白鳥証券もかな。大平不動産も青城セキュアとして購入した不動産の価格を操作してその差額をマージンにしてくれてるね。TIREAは密輸以外にもいくつか裏案件を抱えてて、それが日本の裏社会、上流階級、そして大企業たちの経済を回してる。TIREAはその調整費用で儲けてるわけだ」
漣はいったん口を離すと、及川の顔を見上げる。青城セキュア、およびTIREAの事情は分かった。では、本命の白鳥系列企業の不正や、伊達総合建設の狙いは何なのか。漣の聞きたいことを察した及川はにっこりとほほ笑んだ。
「俺、白鳥系列と伊達総合建設が何考えて密輸をやってんのかまでは知らないよ、消されちゃうし」
「は?てめぇ思わせぶりなこと言いやがって」
どうやら及川は自分たちのことしか知らないらしく、ご奉仕してやったわりに教えてもらえたことはある程度想像がつくことの範囲内だった。この野郎、と思っていると、及川は突然漣の後ろに手を伸ばし、バイブを押し込んできた。いきなり奥まで入って来たことに驚きと快感が走る。
「んあぁっ!!」
「お、すごい」
思わず及川の逞しい上体にすがりついてしまうと、気づいた及川がまた漣の頭を撫でて来た。
「ふふ、可愛いね。俺、男とやるの初めてだけど、漣は可愛いしすげぇエロいから気になんないわ」
「…っ、そりゃどーも…!」
「たくさん気持ちよくするから許して。それに、伊達総合建設にも繋いであげるしさ、必要なら証拠集めのためにSTCのフォワーダーに潜入させるよ?」
「……入れていいよ」
「そうこなくちゃ」
思いのほか良い条件を引き出せたのであっさり漣は許す。すると及川はノリノリで体勢を変えると、仰向けになった漣の後ろに自身を宛がった。久しぶりの感覚に身構えるが、及川は緩く漣を抱き締めてくる。
「大丈夫、痛くしないから」
体温を感じて、温もりに包まれることは体を弛緩させる。漣がリラックスしたのを理解した及川は、いよいよ自身を漣の中に進めて来た。圧迫感と質量に、くらりとする。内臓が押し上げられるようだ。しかし広げられる感覚と、奥を押しつぶす刺激が、圧倒的な快感となって押し寄せ来てた。
「っ、あっ、ん、」
「すっげ、中、めっちゃ柔らかい…これ、癖になんね」
恍惚と言った及川は、痛そうにしていない漣を見てひとつ安心したように息をつくと、律動を開始した。ぐっと奥まで突いてから、勢いよく引き抜いて外れる寸前でまた奥まで侵入してくる。
衝撃と、広げられる感覚の繰り返しは、脳を溶かすようだった。やはり、受け側に回ると理性を保つのに苦労する。
快感に負けないようにしながら、漣は中を締めて及川を煽り、更に昂らせていく。
それにでも、本当に漣を気持ちよくさせるために動いているのだな、と他人事のように漣はぼんやりと及川を眺めた。これなら、損得抜きで楽しむために誘うのも悪くないかもしれない、なんて思いつつ、冷静に次の算段をつけていった。