Dom/Subシリーズ−騎士王の激情1


Dom/Subユニバースもの
長編のパロ番外編で、強烈な欲求の抑制が外れるDomのアーサー×Sub主


人理が焼却され、カルデアが孤独な戦いを始めたばかりのころ。
本格的な英霊召喚が始まる中で、唯斗はロマニに言われたことをよく覚えている。


「唯斗君のSub性はとてもマスター向きだね。特性と強度のバランスがちょうどいい」


第二性差。それは全人類が持つ2つ目の性だ。体の形を決める男性と女性の第一性差に次いで、人格や振る舞いに影響を及ぼすのが支配性と被支配性、最近の言い方ではDom性とSub性による第二性差である。
Dom性とSub性自体が人口に占める割合は半々だ。しかし、その相性が合う相手を見つけるのは簡単なことではない。


「どうだろうな。ほとんど発露させたことねぇし」

「唯斗君は強度Sub性だ。特性解放…最近は日本でもプレイと呼ぶのかな。ちゃんとしていた?」


今でこそ所長代理だが、ロマニはもともと医療セクションのトップ。この分野が専門だ。
カルデアに来たばかりのときにも、全員が第二性差の診断を受けている。唯斗のときは別の担当者だったが、彼女は事故が起きる前に離任していた。そのときは適当に答えていたし、担当者も適当だったが、今回はそうはいかない。

相手がロマニだからというよりは、これから英霊たちと向き合ううえで重要になるからだ。


「…基本的には薬でなんとかしてた。確定診断が出たばっかだったし」

「3度で抑制薬を?プレイの経験は?」

「ないわけじゃねぇけど、まぁ…つかそれはいい。今後も薬でいいだろ。サーヴァントにやらせるわけにもいかねぇし」


第二性差は、4つの特性で構成される。
依存傾向があるかどうかを示す「自立特性」、相手を守る傾向があるかどうかを示す「庇護特性」、相手の状態に干渉するかどうかを示す「干渉特性」、そして独占傾向があるかどうかを示す「開示特性」の4つだ。

そして4つの特性はそれぞれ2つの欲求からなり、合計8つの欲求から該当する4つを診断される。このとき、欲求の頭文字のアルファベットを取り4文字で性別が表現される形だ。
自立特性は、自立欲求(Independent)と依存欲求(Dependent)で頭文字はIとD。
庇護特性は、保護/被保護欲求(Guardianship)と奉仕/被奉仕欲求(Serve)で頭文字はGとS。
干渉特性は、介助/被介助欲求(Care)と加虐/被虐欲求(Abuse)で頭文字はCとA。
開示特性は、公開欲求(Exhibition)と独占欲求(Possession)で頭文字はEとP、という仕組みだ。

庇護特性と干渉特性はDom性とSub性で名称が分けられる。すなわち、Dom性の庇護特性は「保護欲求」と「被奉仕欲求」であり、干渉特性は「介助欲求」と「加虐欲求」である。Sub性はこの逆だ。
自立特性と開示特性は両性が共通して持つ欲求のため分かれていない。

例えば、Sub性で自立特性が「自立したい(自立欲求I)」、庇護特性が「奉仕したい(奉仕欲求S)」、干渉特性が「世話されたい(被介助欲求C)」、開示特性が「見せびらかしたい(公開欲求E)」であれば、各欲求の頭文字をとり、Sub-ISCEとなり、このパターンは16通りの組み合わせとなる。

ただ、庇護特性と干渉特性の組み合わせによって4つの大分類があり、多くの場合、人々は16通りの組み合わせではなくこの4つの分類を重視する。
GC型、GA型、SC型、SA型の4つであり、例えばDom性のGC型であれば「守りたい×世話したい」という欲求の組み合わせとなるため、特に男性の場合はモテる。Sub性のSA型であれば「奉仕したい×虐められたい」になるため、こちらもSub性としてはモテる部類である。


「君はDGAPで、庇護特性がG-3度、干渉特性がA-3度。強いGA型はGC型とも相性がいいが、サーヴァントの多くはGC型で召喚されることが多い。相性が良ければ薬に頼らないことを十分に視野に入れられる」


各欲求は、1度から5度の5段階の強度で計測され、数字が大きいほど欲求の程度も強くなる。そして、各欲求の強度の閾値によって、Dom性とSub性はそれぞれ低度、中度、強度、要配慮の4段階に分類される。

唯斗は、自立特性が依存欲求(D)、庇護特性が被保護欲求(G)、干渉特性が被虐欲求(A)、開示特性が独占欲求(P)であるため、頭文字をとってDGAPとなる。
このうち、依存欲求と独占欲求は2度、被保護欲求と被虐欲求が3度だ。2特性以上が3度あるいは1特性だけ4度の場合は「強度Dom性/Sub性」となるが、強度第二性が日本の人口に占める割合は18%であり、強いSub性と言える。なお、「要配慮Dom性/Sub性」は人口の2%ほどしかおらず、公的医療による抑制が義務付けられている。

強度1度の欲求は無視しても問題なく、2度の欲求は無視しても不調にはなれど大きな健康上の問題はない。しかし3度以上の欲求は解消しないと健康上のリスクになる。

唯斗はGとAが両方とも3度という強いGA型のSub性だが、被保護欲求Gが強い場合、Dom性GC型が持つ介助欲求Cが守られたいという欲求に引きずられて受容可能になるため、GC型とも相性が良い。


「当然だが、サーヴァントの大半がDom性、それも強い特性欲求を持っている。現代でこそ人口の8割が低度から中度なのに対して、英霊の大半は強度や要配慮第二性に該当する。サーヴァントは欲求を完全にコントロールできるとはいえ、強引に迫られることもあり得るし、Sub性としての影響もある」

「分かってる。もし頼れそうなGC型とか現れたら考えるけど、それでもやっぱり、英霊に付き合わせるようなことじゃない」


唯斗は、サーヴァントにそのようなことをさせられないと思ってしまう。普通の魔術師のように、使い魔と割り切ることなどできないのだ。



prev next
back
表紙に戻る