知らぬが仏−1
特殊設定オメガバース現パロ
不動産王ギルガメッシュ+ホテル王オジマン+金融王アーサー×主
なぜこんなことになってしまったのか。
そんなことを考えても答えなど出るはずもないし、強いて言えば、それは唯斗が生まれてしまったことだろう。
生まれた時点で、こうなる運命だったのだ。
「フハハハハ!!どうだ雑種!!素晴らしいタワマンであろう!この魅力に恐れ入って番にしてやってもよいのだぞ?」
「何を言う黄金の!余のホテルの素晴らしさには適うまいよ!!」
唯斗が暮らす和風の邸宅に押しかけ、畳の自室でくつろいでいたところに押し入ってきた喧しい二人はそれぞれタブレットに映した建築を見せてくる。
片や金髪に赤い瞳、片や黒髪に浅黒い肌、どちらも上等なスーツに身を包み、背も高く体格がいい。そんな声も見た目もうるさい二人から離れるように身をのけぞらせると、さらにスパーン!と襖が勢いよく開かれて新たに入ってくる者たち。
「ごきげんよう唯斗、いきなり悪いね。突然だが、僕と一緒にカリブの島に行かないかい?先週購入したんだ」
金髪に碧眼、まさに異国の王子様然りとした好青年がさらりととんでもないこと言いながら居間に入ってくると、後から続いた同じく金髪の美形と深い紫色の髪の美形が青年のそばに控えて、セールスマンのように追随する。
「常夏の楽園ですよ唯斗!もちろん、ビーチも施設も整備済みですとも!」
「いかがでしょう唯斗、疲れた日々から解放されて我らがCEOとともに一生気楽な暮らしをするというのは」
途端にバチバチと火花を散らし始めた男たちに、唯斗はそっと「頼むから出てってくれ…」と呟いたが、聞き届けられることなどなかった。
***
人類には、二つの性別がある。
一つは「第一性差」と言って、雄と雌、男性と女性を意味するものだ。これは他の動植物と同じである。
そしてもう一つが、「第二性差」という人間特有のもので、α、β、Ωの三つに分類されるものだ。
男女の第一性差が見てわかる身体的特徴と、基本的な出産能力の有無に基づくのに対して、第二性差はより複雑である。
αとΩは、「誘引物質」という物質を分泌する能力があり、これがない性別をβという。誘引物質は別名フェロモンとも呼ばれる。αはΩに対して従属誘引物質(支配フェロモン)を出すほか、攻撃性誘引物質(攻撃フェロモン)も出すことができる。Ωは性誘引物質(誘惑フェロモン)を分泌する。これらはβにも僅かに反応させる。フェロモンは揮発性が高く、気体として漂う。
フェロモンに対する反応を「原始性反応」といい、Ωの誘惑フェロモンに対してαが、またはαの支配フェロモンに対してΩが起こす。この原始性反応は一般的には発情という言葉で表現されることが多かった。事実、Ωは第一性差女性に訪れる生理のように、定期的に発情期と呼ばれる性反応を迎える。
なぜこのような物質の分泌とそれに対する反応が起こるのかと言うと、それはΩが第一性差に関わらず高い妊娠・出産能力を有しているからだ。第一性差と第二性差を掛け合わせて6つの性別が人類には存在しているが、Ωの場合、第一性差が男性でも妊娠できるのである。
第二性差は過酷な生存競争に晒されていた原始時代の人類が、確実に種族を残すために生み出したセーフティーネットとされており、Ωはまさに、子供を産むことに特化した性別だった。
もう一つ、第二性差には大きな特徴がある。それは人口の大半を占める男女βでは発生しないものだ。
それは「第二性差性関係」と呼ばれるもので、俗に「番」と呼ばれる極めて原始的で本能的なパートナーシップである。この関係性は、αが興奮状態であるとき、支配フェロモンを直接分泌させながら、Ωのうなじにある「性従属腺」に噛みつくことで従属関係になることとされる。αがΩを支配する関係だということだ。
もちろん、αはΩを慈しむのだが、決定的にΩが不利な点がある。
αは歯茎から液体で支配フェロモン分泌させ、Ωのうなじにある性従属腺に噛みつくことで番となる。この番というのは科学的に説明すると、αが液体の支配フェロモンを性従属腺から流し込むことで互いに他の個体のフェロモンに対する抗体ができ、互いのフェロモンにしか反応しなくなるという関係ということだ。
ここで番を解消することを考える。αは本能的に異父兄弟ができるのを防ごうとするため、αは番解消時、自身に抗体を作り既存の抗体を破壊するほか、再びΩのうなじを噛むことでこの抗体をΩに流し込み、Ωの中の抗体も破壊する。このため、Ωは番を解消されると一切の抗体を持たず作ることもできなくなるため、一生発情期に苦しみ新たな番も作れず、本能的な苦しみで多くは死に至ってしまうのだ。