永久凍土帝国アナスタシアI−10


ダ・ヴィンチはこの霊基グラフにすべての情報と縁を完全に保管してくれていた。そのため、エネルギーさえあれば英霊を再契約のために召喚することができる。常時召喚とはいかないが、一時召喚できるように再契約をしておくことは今のうちにできるだろう。
通信からはホームズも同意を示したため、今回再契約するサーヴァントを考える。


「誰がいいかな…」

「とりあえず、7クラスとルーラーでそれぞれ1騎ずつ、計8騎でどうだ?そんで、なるべく燃費良くて汎用性の高いサーヴァントだな」

「なるほど…ロシアのサーヴァントはいないから、せめてヨーロッパのサーヴァントのがまだマシかな」

「まぁ、そうだな」


この状況だ、ロシアのサーヴァントであってもあまり効果はなかっただろうが、いずれにせよ立香のサーヴァントは欧州系も多くいるため意図せずそうなることもある。

そうして、立香と唯斗とで色々と協議をしながら、8騎のサーヴァントが再契約のために召喚されることになった。
まずセイバーは、ランスロットが召喚される。


「セイバー、ランスロット、ここに。またお会いできて光栄ですマスター」

「すぐの呼び出しでごめんね」

「いえ…しかし、いったい何が…」


ランスロットは召喚されるなり膝をつき、立香、そして唯斗にも恭しくする。そしてすぐに顔を上げて洞窟らしき場所を見て怪訝にした。


「…みんなが退去したあと、カルデアは襲撃されたんだ。そして、そのまま世界は漂白された、らしい。俺たちもまだよく分かっていないんだけど、今は命からがらカルデアを脱出して、まったく環境が変わった2018年のロシアにいるんだ」

「な…っ、では、また世界は…いえ、あなたたちは、またも戦いに…!?カルデアが襲撃されて脱出など…そんな、なぜ、」


さすがのランスロットも一瞬動揺したが、すぐにハッとして冷静になる。立香の表情があまりにも凪いだものだったからだろう。
ランスロットは非礼を詫びてから立ち上がり、改めて立香と唯斗に向き直る。


「…まだ敵の全容も分かっていないのでしょう。私も、現界してから世界に対する知識が一部曇っています。一時召喚のために再契約するだけですから、今はおたずねしません。この剣、再びあなたたちに。異世界の我が王、どうかマスターとマシュを頼みます」

「任されたよ、ランスロット卿」


ランスロットはアーサーにも一礼してからいったん退去する。

そうして同じように、アーチャーからはロビンフッド、ランサーからはクー・フーリン、ライダーからはマリー・アントワネット、キャスターからはメディア、アサシンからはジャック、バーサーカーからはナイチンゲール、そしてルーラーは天草四郎が召喚された。
ルーラーはジャンヌと迷ったが、防御手段より攻撃手段を確保する方が優先だということで天草が選ばれた。他は、ギリシアを含む欧州系サーヴァントである。

そしてランスロットだけでなく、全員がこの状況を聞かされて動揺を示した。一方、その後のリアクションは当然、個性があった。
ロビンはいつも通り笑って軽いジョークで二人を元気づけ、ランサーも快活に笑って立香の背中をバシバシと叩き、マリーは悲しげに微笑みながらも二人の頭を撫で、メディアは素直ではないながらも二人を案じて必ず守ると約束し、ジャックは悲しそうにしつつも立香との再会を喜び、ナイチンゲールは淡々と何があろうと助けると誓い、天草は微笑みながらもう一度世界を救おうと励ました。

それにしても、これでアキレウスやアーラシュを唯斗もいつか再召喚したとしたら、アーサーに何をするか分かったものじゃないな、とこっそり内心で思った。


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