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●●のヒーロー垢
女性ファッション誌なんて買わないけど、今回はさすがに買ったわ…なにこれ…露骨に殺しに来てる…むり…死んだわ…
「死ぬな!?」
雑誌を見て死ぬとはどういうことなのか。「むり」とはどういう意味合いなのか。謎ばかりが深まる。
LOVE半冷半燃双子
2人にはたとえ半身でもヌードとかしないで欲しかったけど、まぁ買ったし永久保存
2人の大人の男としてのエロスみたいのがあってなんかもう本当にありがとう
「どういたしまして…?」
最初は批判かと思ったが、案外悪くは言われていなかった。雑誌の特集自体はタイプの違う2人とのデートコーデというものだったが、アイキャッチ的に撮影されたソファーのシーンがかなり人々の意識を奪っているようだった。
もぎもぎグレープ
あれは入ってるな
「おい峰田おい」
つい呼び捨てでキレそうになった。添付された画像は例の女性誌なので、峰田はあの写真を見て、「入っている」と評している。何がどこに、というのはさすがに分かる。
しかし、続くその投稿へのリプライはほとんどが同意を示すばかりで、「あればもうほぼアダルトビデオの広告」というものまであった。そこまで過激じゃないだろうとも思うが、それくらいのインパクトがあったのだろう。
●●@ショートファン
やっぱショート格好いい…デートしたらこんな感じなんだ…あ〜、ショートとデートしたい!!!
「…、まぁ焦凍は格好いいよ実際、うん」
目立つものとしては、デート特集というところで「デートしてみたい」という内容のものだった。2人それぞれにあるが、やはり焦凍の方が多いような印象だ。
ショート推し同担拒否
今回の特集のおかげでショートとのデートの妄想がリアルになった…!クレープとか奢って欲しい、プレゼントされたい!
「……あいつ煎餅とか選ぶかんね…」
ヒロ垢!
ショートと付き合えるならなんでもする自信はある
「……へぇ、」
●●はショート過激派
ショートってどんな子タイプなんだろ!?整形でもなんでもするから付き合ってほしい!てかもう抱かれたい!
「………」
灯水はついに無言でパソコンを閉じた。なんとなく、嫌な気分になってしまい、それ自体が嫌だった。
すると、リビングに焦凍が入ってくる。風呂上りでほかほかとしているが、こちらを見て首を傾げる。
「どうかしたか?」
鈍感で天然な焦凍だが、灯水の機敏の変化には即座に気付く。そういう相手は灯水だけで、それが優越感に感じられてしまって、また自己嫌悪になる。思わずため息をつくと、焦凍は灯水が座るダイニングテーブルまで来て、椅子の後ろから灯水を抱き締めた。前に回された逞しい腕は暖かい。
「…世の女子は、焦凍にデートでクレープ奢られたりプレゼントとかされてみたいって。そのためなら整形も辞さないらしいよ」
「?そうなのか。俺はあんま横文字のモン分かんねぇから煎餅とかでいいか」
「皆焦凍に抱かれたいってさ」
「そうか。でも俺はお前にしか勃たねぇ」
「焦凍のためなら何でもするって言ってる」
「俺のために人生のすべてをかけてくれたヤツ知ってるぞ。灯水っていう、名前も顔も知らねぇ女に嫉妬しちまう可愛い俺の恋人なんだけどな」
ふ、と小さく笑うと、焦凍は後ろからさっと顔を回して灯水に口づけた。掠めとるようなそれがなぜか無性に嬉しくて、灯水は焦凍が「大人っぽい」感じで売り出されるのも正しいと思えた。
確かに、焦凍はプロになり、大人の男になった。高校のときなら分からなかっただろう、恋と嫉妬に関する些細なことさえ、灯水であれば、こうして気づけるようになったのだ。
「やっぱ焦凍の広告の仕事もうちょっと選ぼう」
「あんま可愛いこと言ってると食っちまうぞ」
「ふーん。焦凍、ホワイトチョコ好きだっけ?」
「生まれたときからな」
もうひとつキスを落とされて、手を引かれる。向かう先は寝室で、簡単に気分が持ち直されていく自分の単純さに、少し笑ってしまいそうになった。