速すぎるふたり−1


●ホークス(21)×主(18)
ホークスの相棒主で、原作軸の1年前です



「ホークスさん、またインターン取らなかったんですか」

「ん〜?まぁね」


福岡の一角にあるビル、そこに事務所を構えるプロヒーロー・ホークスは、ソファーの上で焼き鳥をうまそうに頬張っていた。
サングラスのようなゴーグルを外して、ごてごてとした重そうなジャケットも脱ぎ、黒いシンプルなシャツで完全にラフな姿だ。ほかの相棒にパトロールを任せてこれである。


「インターン参加してるの俺だけじゃないですか。もっと他の奴にも経験させたりとか」

「それはほかの事務所がやってくれてるし?俺はジーニストみたいに指導のためにやってるわけでもない。単純に戦力確保のためだからね。雄英体育祭3年連続1位の実力者がいれば十分」

「…はいはい。じゃあ俺らもパトロール行きましょうよ、共食いしてないで」

「あー悪口、傷ついたなァー」

「…スーパーメソロー、」

「すーぐ個性使う!」


武力行使をちらつかせれば、すぐにホークスは立ち上がった。数センチ高い位置からにやりと見下ろされる。


「じゃ、デート行こうか、応利?」

「何言ってんだ」


***



応利は雄英高校の3年生で、この5月から本格的にインターンに取り組むようになった。
事務所はホークスのところで、ホークスは18才で事務所を立ち上げてから今に至るまでヒーロービルボード10位以内を維持している。

その経歴の速さから、人は彼を「速すぎる男」と呼ぶ。

そこで職場体験をしたのが1年のときで、ちょうどホークスが事務所を立ち上げたばかりのときだった。学校からは、もっとちゃんとしたところを進められたが、あまたの誘いを断り、駆け出しで相棒もいない事務所に入ったのだ。
それからインターンに形を変えてホークスの事務所での仕事を続け、3年の体育祭を終えた今、いよいよ相棒に向けて本格的な参加をしていくことになっている。

今や応利は事務所内で最も古株となっており、後から正式に雇用された相棒よりもホークスの信頼は厚い。ほかの相棒たちも、最も長くホークスとともにおり、何より雄英体育祭で3年連続1位を取っている猛者である応利を特別視しているようだった。事実、外での服務中を除き、ホークスはヒーロー名で呼ぶのが基本なのに、応利のことは名前で呼ぶ。

そして最も応利を特別視しているのは、他ならぬホークス自身である。


「おっ、ほらあそこパスカル、新しいもつ鍋の店できてる。今度あそこでデートしよっか」

「何をパトロールしてんですか」


口を開けばデートだの可愛いだのと言うホークスの応利への可愛がり方は異常で、事務所では、そんなホークスの態度に「えこひいきとかのが救いがある」という同情のようなことすら言われた。
確かに、いくら事務所開設早々にトップ10入りを果たそうと、駆け出しのころからずっと事務所に在籍していると考えれば特別なのかもしれないが、だからといって「似合いそうだから」なんて言いながらアクセサリーをプレゼントしないだろう。

とはいえ、ヒーローとしてのホークスの実力も実績も確かなものだし、ここでたくさんのことを学んできた。

そして何より、応利はこの3年間、ホークスに何度も救われてきたのだ。


普段こそ塩対応が基本だが、きっと応利も、ホークスのことはかなり特別にみているし、そう扱われることにポジティブな気持ちがないわけがなかった。


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