前門の吸血鬼 後門の人狼−1


●時系列など何も考えずに読んでください
轟、爆豪×主




10月に入り、急に秋めいてきた近頃。外での演習が肌寒さを覚えてくる時期だが、ある夜、翌日が休日であることから、寮は少し騒がしかった。


「はい緑谷負け〜!!」

「ぐう…!」


トランプを放り投げ、勝鬨を上げるのは切島。ババ抜きをしており、最後に負けたのは緑谷だった。


「よしじゃあヤオモモルーレット開始!」


そして峰田が言うと、机に置かれたルーレットが回る。八百万特製のもので、二種類の回転型のルーレットだ。片方にはコスプレの衣装が、もう片方には罰ゲームの指令が出ている。

今A組がやっているのは、罰ゲームにハロウィン要素を持たせた謎のゲーム大会だ。全員ではないが、それなりの人数が1階の共有スペースに集まり、ソファーやキッチン側のテーブル席に座ってわいわいとしていた。

トランプゲームを皆で行い、負けたらルーレットを回して当たったコスプレに着替え、そして同じくルーレットで指定された罰ゲームを行うというものだ。なかなかハードである。
ルーレットも、そしてコスプレ衣装も八百万が作るのでヤオモモルーレットと呼ばれていた。

意外にもゲームの提案は芦戸、葉隠、八百万で、ハロウィンをしたいという八百万の希望に端を発するものだった。それに、単純に楽しそうだと上鳴や切島などの賑やかし要因の男子たちも乗り、クラスが集まっての実施となった。
応利もあれよあれよという間に上鳴に連行されて参加している。

すでに罰ゲームを行ったのは5人。

麗日は魔女の格好をして日曜朝の少女アニメの真似をさせられ(峰田が歓喜した)、上鳴は無駄に格好いい蝙蝠の悪魔の姿でウェイモードをさせられ(耳郎が死んだ)、飯田はフランケンシュタインの格好をして全力でその振る舞いをさせられ(概ね皆笑い転げた)、かなり盛り上がった。
さらに、なんと轟と爆豪もこの5人の中にいる。轟は普通に頼んだら参加してくれたらしく、爆豪は切島がうまく煽ったらしい。

結果、轟はドラキュラの格好で甘言を囁き、爆豪は狼男の格好で3回回ってワンをした。普通に轟は格好良く、爆豪は怒りにとんでもない顔をしながら低く低く「ワン」と言った。

罰ゲーム組はその後、ゲームに加わらず周りに控えている。なかなかにカオスなことになっているが、そこに緑谷がお化けの格好をして一発芸をすることになった。



「オールマイトの画風になります」

「ブハァッ!!」


そして緑谷はオールマイトのような画風に顔をムキッと変えて、それにクラスの大半が噴き出した。意外なヤツが意外な引き出しを持っているものである。


「じゃあ時間も遅いし、次でラストにしよっか」

「女子来い!次は女子の罰ゲーム来い!」

「うるさいわよ峰田ちゃん」


緑谷の一発芸の余韻も冷めたところで、芦戸がラストにしようと宣言し、峰田の下心露わな言葉に蛙吹が舌で頬をはたいて突っ込んだ。
最後は普通に大富豪にしようということで、それぞれ手札を配られる。苦手なんだよな、と内心で思いながら手札を持ってゲームに臨む。

そして開始15分、応利と切島が最後に残った。切島もトランプゲームが総じて弱いようだ。
少し前に葉隠が革命を起こしているため、場はカードの数字が小さい方が強くなっている。このままならいける、と手元に残った数字カードを持っていると、突然切島がニヤリとした。


「悪い圧気、俺、革命するわ」

「…は?」


最後の最後にどんでん返しとはこのことで。
切島は革命を再度起こして見せた。急にカードが基本ルールに戻ったため、まさに応利の手札は最弱。7が一番大きなカードという時点でお察しである。


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