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1000文字未満のSS夢
ダイゴチリ

2023/01/21
【曖昧プロポーズ】

Character: ダイゴ

「ダイゴさんって宝石を探す事もあるんですか」
 わたしには何がどう貴重なのか分からない地味な石を楽しげに眺めているダイゴさんに尋ねる。どう見てもその辺に落ちてる石ころにしか見えないんだけど、なんでも稀少的価値のある鉱物なんだとか。
 ダイゴさんは石からわたしへと視線を向け、少し首を傾げてから「時々ね」と笑った。けれどテーブルに広げられた『お気に入り』は宝石からは程遠く、特注の展示ケースに飾られている石もとても宝石には見えない。
「何か、欲しい石があるのかい?」
「えっと、その……」
 わたしは探すのかと聞いただけなのに、勘のいいダイゴさんは質問の意図に気付いたらしい。透き通る青の瞳が柔らかく微笑む。けれど情けないことに勇気が出せなくてわたしは言い淀む。
 欲しい石は確かにあった。そしてそれはダイゴさんから貰うから意味があるもので、けれど我がままを言ってねだる物ではなくて。わたしの唇はどんどん重くなった。
「遠慮しないで言っておくれよ」
 ダイゴさんは笑みを浮かべつつも困ったように眉を下げていた。そんな表情をさせた事に胸が痛む。こんなに深刻に聞かれたら言うしかない。
「ダイヤ、モンド」
 重たい唇を無理やり持ち上げ宝石の名前を紡ぐ。清流のような透明な瞳が大きく見開いて、ぱちぱちと数回瞬きを繰り返した。
「もっ、もしその指輪くれるなら…、これからもずっと一緒に居てもいいかなぁ……、って、でもその、」
 冗談だよ、と続く言葉はしかしダイゴさんの意外な声に遮られる。
「本当かい?」
 きらりと光ったのはダイゴさんのアイスブルーの瞳で、それはわたしをまっすぐに射抜いてくる。
「ナマエ、ボクにはあまり冗談は通じないんだ。今の言葉、本気にするよ?」
 ほんのちょっとした雑談で、決してこんな大層な話になる筈なんかじゃなかった。けれどダイゴさんの眼差しは真剣で、今さら冗談だとは言えない。
 わたしは「いいよ」と頷いてこの曖昧なプロポーズを赤くなった頬で受け入れた。
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