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1000文字未満のSS夢ダイゴ|チリ2023/01/31【とけた魔法】
Character: ダイゴ
その時のわたしは特に深く考えもせずに喋っていた。誰に言ってもどうしようも出来ないことだったし、今目の前にいる相手はこの手の愚痴に一切手を差し伸べることはないと思っていたから。だから、
「えっ…、今なんて、」
「だから、ボクにすればいいんだよ」
にこりと微笑むダイゴさんに頭が真っ白になった。
「それとも、ボクじゃ役者不足かな」
言葉こそ謙虚だったけれど、強い眼差しは自分こそ相応しいと言わんばかりにきらりと輝いている。まさかこんな展開になるとは思っておらず、わたしは「えーっと、」と言葉を濁して視線を逸らした。
両親が過保護で、恋人もまだ出来ないなら親の紹介する人と結婚を前提に付き合えと言ってきて困ってる――それは事実ではあったけど、それを口実にダイゴさんと付き合おうだなんて考えていなかった。だからダイゴさんが機嫌の良さそうな笑顔で「ご両親への挨拶はいつがいいかな」なんて尋ねてくることへ呆気に取られてしまう。
「そうだ、ボクのお気に入りの石も手土産に持っていこうか」
「えっと、その、」
「もちろんご両親の好みの物を用意するよ」
「あ、りがとうござい、ます…、でも、」
「どうしたんだい? まさかボクに言ってしまった事を後悔してるのかな」
「そんな事は……」
後悔なんてしていない。ただ、こんなにも乗り気になるとは思っていなくて、ただただ状況が飲み込めない。だってダイゴさんはこんな嘘みたいな話を真に受けて自分を彼氏にしろと言う人間じゃない。ダイゴさんはもっと清く正しい人間のはずだ。
「じゃあいいよね。これからよろしく、ナマエ」
ダイゴさんがうっすらと赤い頬で微笑む。わたしの中のダイゴさんはそんな人じゃない。ダイゴさんはこんな馬鹿らしい口実で恋人を作ったりしない。
けれどダイゴさんはたしかにそう言って満足そうにわたしをぎゅっと抱きしめるから、魔法はとけてしまったけれど恋心は変わらずダイゴさんに時めいていた。
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