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1000文字未満のSS夢
ダイゴチリ

2023/02/10
【とけるまで】

Character: チリ

 今日は待ちに待ったバレンタイン。けれど同時に明日も仕事のあるいつもの平日で。だから渡したチョコレートは簡単に中を確認したらさっさと冷蔵庫へ仕舞われて、その後は昨日と同じく各々する事をして各自のタイミングでベッドに入った。
 もちろん明日の事を考えたらそれは間違ってない。でも同棲の新鮮さが失われややマンネリとした今、チョコを口実に少しくらいイチャイチャしてくれても良かったのに。チリはむしろ普段以上に素っ気なかった。
 同じベッドの中、チリに背中を向けて体を丸める。腹が立って寂しくて苛々して胸が痛い。もうチリなんて知らないんだから。抱き枕を強く抱き締めてぎゅっと目を瞑る。
 と、不意にチリに「ナマエ」と名前を呼ばれた。でもとっさに知らんぷりをする。早く寝ろと言ったのはチリなのだ、わたしは言われた通りにさっさと寝てやる。
「寝たフリせんとこっち向きいや」
 ぐらぐらと肩を揺さぶられる。これじゃあ寝たくても眠れない。仕方なくチリの方に体を向けて、今さらわたしに構おうとする恋人に不機嫌な顔を見せた。
「チリちゃんからチョコ渡してないやろ?」
 何を言うかと思ったら。今ここでチョコを渡されたって困るだけ――
「ふ、んぅっ」
 目の前にチリの顔があって、ふわりと甘いチョコの香りが漂う。どこからだろう、意識が香りに向いた瞬間、唇が塞がれた。香りが濃くなる。
 チリが音の少ない寝室にリップ音を響かせて唇が離れた。チョコの香りはまだ漂っている。
「どう?」
 にやりと笑うチリの唇はつやつやと濡れていた。それに触れられた部分を撫でると、べたりとした何かが指に付く。キラキラしたラメの入ったグロスだ。鼻を近付けるとチョコレートの香りがした。チリに視線を戻す。
「食べ足りへんならおかわりしてもええんやで」
 こんなの狡い。わたしは血色の良くなった唇に噛み付くようにキスをして、チョコの甘い香りを肺いっぱいに吸い込んだ。
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