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1000文字未満のSS夢ダイゴ|チリ2023/02/11【ただの好機】
Character: ダイゴ
「まだ一緒にいたい……、です」
ナマエがボクのスーツの裾を掴む。俯いて顔は見えないけれど、消え入りそうな声は恥ずかしさに満ちている。勇気を出して呼び止めたのが手に取るように分かった。
月明かりが夜道を照らす中、ボクはいつものデートでするように彼女を家まで送り届けていた。歩調はナマエに合わせてゆっくりに、周囲に目を光らせ話題になるものを見つけたら直ぐに足を止めて、少しでも一緒に居られるようにあれこれと手を尽くす。
それでも目的地には着実に近付いて、あっという間に家の前に着いてしまった。まだまだ寒いこの季節、家の前で立ち話をするのも限度がある。
だったら家に……と下心が顔を覗かせるけれどそれも駄目だ。付き合ってしばらく経つけど未だ行為には及べていない。そんなボクが家に上がって大人しくお茶だけして帰るなんて、きっと出来ない。だからナマエがその気を見せてくれるまで絶対に家には上がれない。そう、思っていた。
「まだ一緒にいたい……、です。家、入りませんか」
今までもあと5分だけなどと呼び止められることはあった。でも今彼女は何と言った? 見栄を張ってボクが言えなかった一言を言わなかったか? ボク達は子供じゃない。たとえそれが恋人だったとて、夜遅くに男を家に招いて起こり得る行為が想像できない年じゃない。
つまりこれはそういう誘いだ。にわかに速くなる鼓動を悟られないよう、緊張で声が上擦らないよう慎重に口を開く。
「いいのかい?」
ああ、ナマエが俯いてくれていて本当に良かった。ボクはナマエが小さくけれど確かに頷くのをしっかりと確認するとその肩を抱いて彼女が招いてくれた家へと足を踏み入れた。
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