※R-15くらいの破廉恥






 夜目のきかぬ暗闇の中、吉継は私を剥ぐ。ぺりぺりと、かさぶたでもむくように。私という人間を暴き、“丸裸”にしてしまう。彼が動くと、はらりと着物が床に垂れた。衣擦れの音を聴き、彼はそこに涼やかな眼差しを向ける。
 吉継は表情の読めない男だった。元来の性質がそうであるのに加え、普段は布で顔の大半を覆ってしまっているがため、一段と彼を幽微な存在に昇華させていた。だが私は、彼の瞳に星を見る。

 吉継は私の腕を床に押し付けると、勢いに任せ覆いかぶさってきた。無遠慮に唇を押し付けられ、舌で口内を蹂躙される。私は彼の動きについていくのが精一杯で、他に気を向ける余裕もなかった。何度も角度を変えて、私達は互いの唾液を混じえた。その間にも、吉継は器用に帯を緩めて私の至る所に指先を伸ばしてゆく。うなじから鎖骨、胸元へと……ぞくぞくと身体の芯が痺れ、その柔らかくもいやらしい手付きが私を惑わす。更に片手が恥丘をおり、やわやわとそこを撫でまわすと、思わず、はふ、と耐えきれなくなった息が漏れ出した。素直に反応を示す私に気を良くしたのか、吉継は困ったように色を込めて笑った。ああ。その色っぽい声に、私は参ってしまうの。
 彼は己の腰紐を解くと、さして頓着もせずに着物を脱ぎ棄てた。平生の穏やかな気性が影を潜めた、その意外なほどの荒々しい動作。美しい半身が再び重なって、私の胸を押し潰す。吉継が私の首筋を吸うと、彼の綺麗な髪が落ちてきた。そうして、ナマエ、と心地の良い響きで私を呼ぶ。

「俺は、行くぞ」

 何を見抜いたのか。吉継は両脚の間に腰を落として、そんなことを口にする。触れ合ったそこで彼を感じて、私は余計に恥じ入った。臀部を掴まれ、太腿を撫でられ、ついに彼は私の足を持ち上げた。ゆっくりと入り口を押し広げ、彼が侵入してくる。何度も彼を受け入れてきたはずなのに、私はちっともその感覚に慣れることはなかった。何故か心だけは処女のままで、痛みとか、喜びとか、そういった特別を全て孕んでいたかった。

 彼を見上げると、おぼろげに輪郭が浮かびあがる。ひたすらに最果てを突かれながら、私は彼の頬に手を伸ばした。刹那。
 吉継の瞳は、揺れた。

「こんな顔、してたんだ」

 それは、涙で滲んだ音だった。吉継は何も言わず、なだめるように私の手のひらに唇を寄せた。そうやって、よすがら私を誤魔化して、私を置き去りに行ってしまうのね。
 ならば、早く朝がやってくればいい。私の甘ったれた幻想を打ち破って、残酷な刻をもたらせばいい。死んだように生きてゆくなら、心だけは全部あなたにあげるから。
 こうして。私の心臓は、笑って泣いた。


夜明けと心中
150205 吉継が大好きでありんす
解説のようなもの)