雨が降って来た。
神羅ビルまでは後少し。
降り出したばかりだから、走ればそんなに濡れずにたどり着くかもしれない。
持ってたバッグを頭に掲げて、少し頼りない雨除け代わりに。
いつも立ち寄るカフェの店先に傘を持って立っている男性の姿がみえた。
木の造りで出来た柔らかい佇まいのそのカフェにはあまり似つかわしくないような…
私を見つけると傘を開いて少し急足で向かって来た。
「ルード、どうしているの?」
「…」
どうして、なんて野暮な事は聞かないほうが良かったな。
彼のそういうさりげない優しさが私は好きだ。
ルードの左側にくっつくように傘に入りビルに向かって歩く。
「…ルード右側の肩結構濡れてる」
「後でクリーニングに出すから問題ない」
「あ、うん。そうだけど…そうじゃない」
ちゃんと乾かして風邪引かないようにね、と言うと静かに頷いていた。
ビルに着くと傘を畳み、右手をドアの前にかざして開けてくれる
「まるで執事みたいだね」
思わず小さく吹き出してしまった。
「…それも悪くない」
レノに見られて散々からかわれたけど
こんな日常が結構しあわせだったりする。
ー@オフィスロビー
『なーんだよ、俺も迎えに来て欲しかったぞ、と』
『男と相合傘は…』
『それ、一部の女子社員が喜びそうだし面白いから写真撮らせて!』
『『……。』』
Thank you!