あれから数時間が経ち、外は暗くなり始めていた。
タブレットの音が鳴りディスプレイにはミカルの名前が出る。
『あ、ラディさん!今日はこのまま家に帰るね』
楽しそうなミカルの声にホッとした。
「うん、気を付けて。ずっとセブンスヘブンに居たの?」
『そう!久しぶりにマリンに会ったの。列車墓場の話をしてたから――』
ミカルが笑いながら話す声を聞いて一瞬不安が襲った。
「ミカル、今日・・・変な人に声かけられたりしなかった?」
『ううん、何もないよ。大丈夫』
「そう、わかった。じゃあね、また明日」
電話を切り、入り口の施錠をしようと向かうとドアが開いた。
ラディが店にいるとは思ってなかったらしく訪ねて来た男は一瞬戸惑った表情を浮かべたように見えた。
つい先程まで脳裏に焼き付いていたその瞳が目の前にある。
「ミカルは…居ないのか」
クラウドは店内を見渡しながら控えめに言った。
「今日一日セブンスヘブンに居たって電話があったよ。一緒じゃなかったんだね」
「あぁ、1日仕事で…」
ラディはクラウドが背中に背負ってる大きな剣を見つめた。
それに気づいたクラウドは視線を少し下へと落とした。
「その瞳の色はソルジャーだね」
「元<\ルジャーだ。今は…なんでも屋だ」
そうだった、とラディは軽く笑い
クラウドもほんの少し表情を緩めた。
少しの沈黙が流れた後クラウドが口を開いた。
「なぁ、アンタは…知ってるのか俺の事を」
「どういう意味…会ったのはこの間が初めてのはずだけど」
「この瞳の色の事を知ってるということは過去にソルジャーに…」
言いかけてクラウドは頭に鋭い痛みと耳鳴りを感じてしゃがみ込んだ。
まただ、時々襲う頭痛と耳鳴りと…流れ込むように見える残像。
「大丈夫?」
ラディは側に寄りクラウドの肩を掴んだ。
大丈夫だ、と答えながら顔を上げたクラウドの瞳が先程より近い距離で見える。
あの時の対象者達≠ニ同じ瞳の色。
それは普通の人間とは違う、尋常ではない力を秘めている証でもある。
「あの会社に深く関わる事は…言えないことも増えてくるだろうね」
少し悲しみの表情を浮かべそう言うラディを、クラウドは何も言わずに見つめていた。
「クラウド、ミカルの事を宜しく頼むよ」
どういう意味が込められているかは分からなかったが、クラウドはただ頷いた。
「あ、報酬必要か…」
そう言ってラディが笑うと、つられてクラウドもほんの少しだけ笑った。