「おー、シギル来てたのか」
ノクトは鞄をドサリと床へ置きながら言った。
「お疲れ様ノクト、グラディオ」
おう、とグラディオは応えてソファへと座り
ノクトの着替えを受け取りながらイグニスは、部屋にゴミを溜めすぎな事への注意を再びしていた。
シギルは先ほどイグニスと飲んだハーブティーを冷たくして、ノクトとグラディオの二人分をグラスに注ぎテーブルへと置いた。
「うん、うまいなこのハーブティー」
「イグニスが買ってきてくれたよ」
そう言うシギルを、グラディオはにやにやと見つめる。
「何かあったか?」
「え?何かって...」
絨毯の上にビーズクッションを置き座ったシギルに少しだけ屈むように顔を近づけ、グラディオは小さく囁いた。
「イグニスと同じ香水の匂いしてんぞ」
「え!?うそ、」
慌てて肩のあたりの匂いをかぐシギルを見てグラディオはまさか、という驚いた表情を浮かべた。
「....マジかよ」
「ちがっ、そういう事してないし」
「からかったつもりで言ったんだが、まさかアイツがなぁ」
「だから、グラディオが思ってるようなことは何も...「あーもー、わーかったって。次から気を付ける....ってこれうまそ!」
「...ノクト」
シギルの言葉を遮るように、カウンターの方ではイグニスの小言にしびれを切らしたノクトが摘み食いをしていた。
「子どもか、お前は...」
呆れたグラディオが言葉を投げ、イグニスがダイニングテーブルを拭く。
「そういえば、シギルとグラディオも久しぶりに会ったんじゃないのか?」
「おー、そうなんだよ」
「さっき城内で会ったの」
「子どもの時の記憶のまま止まってたから、びっくりしちまったぜ。これじゃあ男も放っておかないよなぁ?イグニス」
そうだな、と笑いながらイグニスはテーブルクロスを並べていた。
何を言い出すのか―とシギルが顔を向けると、グラディオは声を出さずに楽しげに笑う仕草をした。
「あ、折角だしプロンプトも呼んで良いか?」
「あぁ勿論だ。仕上げをするからここに到着する頃にはすぐ食べられるように出来るな」
ノクトはよし、と言ってスマートフォンをタップした。