「すっごく美味しかった〜!ご馳走様でした!」
満面の笑みを浮かべプロンプトは手を合わせイグニスに礼を言った。
「それはよかった」
イグニスは笑顔で言い、それぞれが食べ終わった食器を片づけ洗い物とコーヒーを入れるために湯を沸かしに立った。
「良い食いっぷりだなぁ」
人懐っこい性格をしたプロンプトと面倒見の良い兄貴的ポジションのグラディオは今日初めて顔を合わせたが、すぐに打ち解けた。
「あ、俺実は昔結構太っててダイエットしてこの身体まで絞って...」
三人は身体作りの話に花を咲かせ、維持するには食習慣と筋トレの内容も大事だとグラディオが熱弁を奮っていた。
ノクトは絨毯の上に肩肘を付きながら寝そべり、アプリのゲームを再開しシギルもクッションを置きその隣へと座った。
「なぁ、進路希望書いたか?」
スマートフォンから目を逸らさずノクトが聞いてきた。
「うん、一応ね」
「そか。やっぱり、両親と同じ道目指すのか?」
「んー...色々考えてはいるけれど」
少し濁したシギルを見て、ノクトはそれ以上は聞かなかった。
「ノクト、希望職種欄“王子”って書いたでしょ」
「まぁ、間違いじゃねーし?」
「でもあのまま出したわけじゃないでしょ?」
イグニスと同じことを言いだすので思わず吹き出してしまった。
「さすがになー。とりあえず後で職員室に個人的に持ってくわ...あー...ねみぃ」
「ちょっとノクト、食後すぐに寝ると太るよ」
「んー」
相変わらず良く寝るノクトを見ているとこちらまで眠くなるようだとシギルは小さく欠伸をした。
――――――――――
【10年前】
「シギル、今日はパパもママもとっても忙しくてお城にお泊りなの。だからシギルもお泊りしてノクティス王子とイグニスと一緒に寝てね」
両親は忙しい時は泊まり込みで職務をこなし、城へ泊ることも度々あった。
ルシス王国の国交に励む両親へは、レギス国王陛下の厚意もあって専用の部屋も用意され家族も自由に出入りできるようにしてくれていた。
「シギルは家に帰してもいいんじゃないのか?その方が落ち着いて眠れるだろうし...」
「え〜いいじゃない、娘の寝顔を見たら仕事も頑張れるってものでしょう?」
「そ、そうか」
マイペースな妻の言い分に首を傾げながらも頷き、シギルを連れて両親はノクト達が居る部屋へと向かった。
「シギル!」
「ノクト、今日は私もお泊りするの」
ノクトは嬉しそうに駆け寄り、シギルの手を握って部屋へと招き入れた。
「ノクティス王子、イグニス、シギルの事よろしくね」
「うん!」
「はい、ウィンクルム様」
頭を下げるイグニスと手を振るノクトと娘を見届け部屋を後にした。
「あとでこっそり寝顔見に来ようかしら!?」
「その時間があればいいがな」
二人は会議室へと向かった。
――――――――
「―でね、この星の名前は」
ノクトは星座の本を広げながらシギルに説明をした。
前日に自分に聞いてきたノクトを思い出し、イグニスは小さく笑いそうになったがシギルの隣で一緒に頷きながら聞いていた。
「すごいね、ノクト!こんなに星の名前知ってるの?」
「へへ、そう!」
「お城からも星、見える?」
そう尋ねるシギルにノクトはうーんと考えた。
「周りが明るいから見えないかな...さぁ二人とも、そろそろ寝る時間だよ」
イグニスがそう言いながら座っていたベッドの布団を捲り促すと、二人揃って星が見えないという事にしょげた顔をした。
「明かり消したら見える?」
「王都が明るいからなぁ...」
そっか、とノクトは本をサイドテーブルへと置いた。
「わたしイグニスの隣で寝る!」
「え〜、ぼくの隣だよイグニスは」
「ノクトはいつもイグニスと一緒でしょ」
「だってぼくのお世話役だもん」
「二人が寝るまで僕は寝ないよ」
三人のやり取りを見ながら乳母は微笑み、電気を消した。