夜中、隣にあった温もりが消え薄らと冷たい感覚がしてシギルは目を覚ました。
自分を挟むようにしてイグニスとノクトは川の字で横になっていたようで、寝ぼけ眼で見るとイグニスがすやすやと寝息を立てていた。
反対側へと顔を向けるとノクトが居ない。
(ノクト...)
イグニスが起きないようにそっと上半身を起こして広い部屋を見るが、姿が見当たらない。
レースのカーテンがかけられた大きな窓からは月明かりが入り込み、部屋を照らしている。
良く目を凝らすと、ノクトがカーテンの隙間に小さく膝を抱えて座っていた。
そっとベッドから降りて近寄ると、膝に口を当てて何かを堪えているようだった。
「ノクト、おトイレ?」
ひそひそと声を掛けると首を小さく振った。
「夢に...」
「?」
一言だけ言うとまたギュッと膝を抱えて黙り込む姿を見て、シギルはノクトが怖い夢を見たのだと分かり、両手で手を握った。
「こうしたら、連れて行かれないよ」
シギルがそう言うとノクトは頷き、一緒にベッドへと戻り横になった。
「ん...二人ともどうしたの?」
イグニスが目を擦りながら二人へと尋ねた。
「ノクトが星を見ようとしたけど、見えなかったって..」
「そっか」
イグニスは二人へとタオルを掛け直し、シギルはノクトの方へと向き手を握りながら眠った。
手から伝わる温かい体温と小さな寝息に誘われて、ノクトも再び微睡の中へと入って行った。
次に目を覚ました時には、朝陽の中でイグニスとシギルが笑顔でおはようと言ってくる姿があった。
――――――――
「おいおいおいおい....仲良く寝んねかよ」
ソファへと移動してきたグラディオは、絨毯の上でスマートフォンを握りしめたまま寝落ちしたノクトとその横で眠るシギルの姿を見て呆れた。
「ほんとだ〜!ちょっと面白いから写真撮っちゃお」
プロンプトは鞄からカメラを取り出し二人の写真を何枚か撮った。
「少ししたら起こそう。グラディオ、すまないが二人に何か掛けてやってくれ」
「はいよ...ったく、年頃の男女の姿かぁ?これが」
「...グラディオ」
横向きに寝ているシギルの手が、少しノクトの腕に触れているのを見てイグニスは小さな笑いを零した。
もうすぐ、待ちに待った夏休みがやって来る。