And she...
車内の中で先ほど過ごした数時間を思い返した。
紹介された相手は、家柄も肩書きも何もかも申し分なく
実際に会って話してみると、それをさらに感じざるを得なかった。
高嶺の花という言葉が似合う男性だと思った。
見た目と、いわゆるスペックというものだけを聞いたら多くの女性は嬉々として話しかけに行くだろうけれど
実際に話してみると気軽に声をかけてはいけない相手なのだと誰もが思うだろう。
『ーまだ、自分の事で手一杯なので…』
申し訳なさそうにそう言った相手の表情を見た時
誰かを思い出しているのだろうと、女の勘で分かった。
『…嘘が付けない、誠実な人なのね』
ポツリと窓を見ながらつぶやいた。
想われている相手が羨ましいと、少し感じた。