2本の薔薇は
「世界にはあなたと2人だけ」
「俺さ、父上だけじゃなくあんたも失うとか、耐えられないよ」
凌統が彼女への見舞いとして捧げたのは二本の薔薇だった。
「ごめんね」
僅かに目を開き、彼女は呟く。戦場で受けた傷は彼女の想像以上に深く痛ましいものだった。
「治ったら休暇を貰って、遠くに行こう。俺あんたと一緒に居たいんだ」
「……私もだよ」
薔薇を見つめながら彼女はそう言う。花は、逞しく咲いていた。
「あんたが居ないと、ダメなんだ。情けないな、俺……」
珍しくしおらしい凌統を励ますためにも、早く養生しなければいけないと彼女は思うのだった。