6本の薔薇は
「君に夢中」
荀イクは、あまり感情表現が大きいタイプではない。乙女と恋仲になってからもそれは変わらずで、彼女は時にもどかしくなる。
「受け取ってください。これが私の気持ちです」
6本の薔薇にはどんな気持ちが込められているのだろうか。彼女はそう思いながら受け取った。
「荀イクらしいね。ありがとう」
笑う彼女を、荀イクは優しいまなざしで見つめている。
「あなたへの気持ちが、溢れ出てくるのです。それこそ、言葉ではなく形として残したいと思えるほどに」
本当はその笑顔をだれにも見せたくないほどに、彼女を愛している。そんな正直な気持ちを見せてしまえば、嫌われてしまうかもしれないから。荀イクは喜びを感じつつも、彼女とは違った方向に悶々としているのだった。