8本の薔薇は
「あなたの思いやりに感謝します」
「乙女さん、これ……」
直虎が差し出したのは8本の薔薇。彼女がこれを渡したのには、ある理由がある。
直虎の友人、飯尾田鶴の死は彼女に深い衝撃を与えた。そんな中で、常に寄り添い共に辛い日々を過ごしてきたのが乙女だった。乙女は直虎にとって大切な友人であるし、礼などなくても構わない。だがおずおずと薔薇を渡す直虎を見れば、受け取らない訳にもいかなかった。
「薔薇も良いけど、椿も見にいかないとね」
「……はい!」
次にあの墓を訪れた時はきっと、椿が一面に咲き誇っているのだろう。