10本の薔薇は
「あなたは完璧」

「俺より先に死んじゃうってさ、そんなこと……」
俺、長くないかもしれない。半兵衛が彼女にそう言ったのは、そう遠くない過去の話だった。
「私、半兵衛のためにも生きなきゃね」
そう言っていたではないか。半兵衛は10本の薔薇を持って立ち尽くしていた。
彼女の顔は死人とは思えないほどに麗しく、ただ静かに寝ているだけなのではないかと錯覚してしまう。
「俺の前だけでも、本音を見せて欲しかったよ」
最期まで、ずっと完璧なままだった君。俺のように、少しだけでも弱さを見せてくれて良かったんだよ。
彼女の白い肌に、赤い薔薇は良く映えていた。
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