軍師のためなら死ねる
乾いた咳が陣幕の中にこだまする。元から白い肌はもう青白いといっていいほど不健康な色と化し、元から細いその体はもはや骨が浮き出るほどに痩せ細ってしまった。郭嘉殿はそんな中でさえも、殿の為に必死で軍略を練っている。
「郭嘉殿、無理をしては」
起き上がって書をしたため続ける彼を制止する声は、どうやら届いていないようだった。きっと、この人は自分の死を悟っている。だから立ち止まることも、休むことも出来ないのだ。それでも、私は願わずには居られない。
「郭嘉殿」
一瞬だけ手を止めた郭嘉殿は、私の呼び掛けに対して淡く微笑むだけ。
私が代わりに死ぬ運命ならば良かったのに。貴方の居ない世界で、私はどうやって武を振るえというの。貴方が居たからこそ、私は私で在り続けるというのに。