軍師のためなら死ねる
陸遜殿は凄い人だ。私よりも年下でありながら、地位も人望も厚い。そんな雲の上の存在のようでありながら、女でありながら戦場に立つ私をも頼ってくれる。なんと感慨深いことだろう。
「今回の布陣はこちらでよろしいでしょうか」
彼は当たり障りのない表情で私に接する。が、私はこの人の怖さを知っている。あどけない顔で恐ろしい策を弄する姿はまるで別人のようだ。特に火計を指示する時の彼と来たら……それは語るに忍びない。
「……またこんな無茶なことを私に言いつけるおつもりですか」
私の戦場での役割は、この人によって随分様変わりしてしまった気がする。呂蒙殿曰く、私達の相性は抜群らしい。
「貴方の力を見越して配置しているのです。貴方は私のことを若輩者だと蔑みませんから、敬意を表しているだけですよ」
結局私はまた無茶をする。それでも構わなかった。才ある者に尽くすのは当然の務めなのだから。