得物の話
張コウは、長い爪のような独特な武器を使っている。昔はもう少し小さいもののはずだったが、乙女が気づいた時にはそれは思っていたよりも大きいものになっていた。

正直、戦いにくいだろうに、と感じる。力を入れにくそうだし、普通に剣を使ったほうが良いのではないかと、身も蓋もない考えが浮かぶ。なんだか説教されてしまいそうな気もするが、乙女は直接尋ねてみることにした。

「その武器、戦いにくくはありませんか」

張コウは何を言っているのだこの娘は、と言いたげそうに(本当のところはともかく、乙女の目にはそう映った)していたが、やがて話し出した。

「あなただって、少し寒い日でも己の美しさを保つためにはやせ我慢をすることもあるでしょう。それと同じです」

張コウはそれ以上何も言わず、優雅に立ち去って行ったが。やせ我慢といったか、この男は。そう思うとなんだか、親近感が湧いた気がする。乙女がこれのほうが可愛いからと冬に薄着をしていたのは本当だったし、張コウという男の凄さが、ほんの少しだけ分かったような気がした。

(20240722)
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