ランチボックス・フレンズ
「あれ、今日は弁当じゃないのか」
「作ろうと思ったんだけど、時間がなくて。コンビニで買ってきちゃった」
仲権がいつものように私の机で弁当を広げる。正直クラスに友達がいない……というのははっきりいうと惨めだ。そういった私をみかねて彼は一緒にご飯を食べてくれる……のは嬉しいけど、なんだか申し訳ない気もする。幼馴染ってだけでここまで気を遣う必要なんてないのにな、なんて思ったりして。現にお昼ご飯を食べれば私たちの会話はそれで終わり。彼は人気者だから休憩時間はたくさんの人に囲まれるし、放課後だって帰宅部の私と違って部活を頑張っているし……ああ、自分で言っていて悲しくなってきた。
「俺お前の弁当見るの楽しみなんだよなー。自分で作ってるのも凄いなって思うし」
「あ、あのさ、仲権……」
「うん?」
「私なんかと一緒にお昼ご飯食べていて、本当に楽しい……?」
私は恐る恐る聞いてみる。昔仲良くしていたからその流れで義務感で、なんて感じだったら私は全然一人で過ごせるよ。それよりも上辺だけの付き合いのほうが嫌だし。普段なら言わない言葉がなぜか飛びでてきた。クラスの女の子が仲権のことを好きだって噂を聞いてしまったから、というのもあるけれど。
「あのな。俺上辺だけの付き合いだとか嫌いだし。……こういうの言うのちょっと照れるんだけど……昼ご飯を口実にして、お前と喋ってるっていうか……」
「仲権……! 大好きだよ!」
私はパンを口に詰め込んで勢いよく椅子から立ち上がり、教室を出ていく。どうしてあんなにストレートな言葉を言ってしまったんだろうという気持ちはあるけれど、後悔はしていない。仲権が私を追いかけてくる軽快な足音が廊下に響いた。
(20240729)